2025年11月17日、福建省で開催された「ASEAN・中国ウィーク2025」のハイレベルテーマ別対話において、ビン大使は、ASEANと中国の包括的戦略的パートナーシップが近年引き続き拡大し、地域の平和と安定に寄与していると強調しました。
同大使は、今後の協力に向けた優先事項として、ハイレベルで合意された決定や協定を具体的で実質的な行動へと落とし込むこと、サイバー犯罪や越境犯罪、気候変動への共同対応を強化することなどを挙げました。また、中国がASEAN主導の枠組みに引き続き積極的に参加し、ルールに基づく行動の推進に向けた努力を続けるよう呼びかけました。
大使はまた、貿易・投資、デジタル経済やグリーン経済、科学技術、イノベーション、人材育成、観光、人的交流といった分野で協力を一層深化させる必要性を強調し、併せて ASEAN・中国自由貿易圏(ACFTA)3.0 議定書の効果的な実施を確保することの重要性を指摘しました。
さらに、ASEAN共同体ビジョン2045や中国の長期的発展目標と整合したソフト面の連携を皮切りに、戦略的な連結性を強化することを提案しました。具体的には、鉄道や道路を含む交通インフラの高度化、イノベーションネットワークや共同研究施設の設立、グリーン技術やデジタルトランスフォーメーション分野に関する協力の拡大などを挙げました。
ビン大使は、対話の継続と信頼構築、そして平和・安全保障・発展という共通のビジョンの実現が重要だと強調しました。また、東海に関する関係国行動宣言を完全かつ効果的に履行し、1982年国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法に沿った、実効性と実質性を備えた行動規範の策定に向けて取り組む必要性を指摘しました。
また、ビン大使は複雑化する国際情勢の中でのベトナムの政策方針を説明し、独立・平和・自主・多角化・多様化、包括的かつ広範な国際社会への参画、そして国際社会の積極的かつ責任ある一員であるという一貫した外交政策を改めて表明しました。
ベトナムは、行政機構の簡素化や二層制地方行政モデルの試行など、主要な制度改革を推進し、新たな段階の急速かつ持続可能な発展の原動力を生み出しています。同国は引き続き改革を推進し、開放性を高め、独立・自立した経済の構築を目指しています。
2030年までに現代的な産業基盤を持つ高中所得国、2045年までに先進的な高所得国となることを目指し、科学技術、イノベーション、デジタルトランスフォーメーション、知識経済を成長の原動力と位置付けています。人々を開発の中心に据え、生活水準の向上、社会保障の強化、質の高い人材の育成に注力しています。
「ASEAN・中国ウィーク2025」は、ASEAN・中国包括的戦略的パートナーシップの重要な節目を示すもので、政策対話、実務協力、文化交流のプラットフォームとして機能し、より結束した ASEAN・中国共同体の構築に向けた協働を促す役割を果たしています。
開会式で、ASEAN中国センター(ACC)の史忠俊(シ・チョンジュン)事務総長は、中国と ASEAN は開発計画における戦略的な整合性を重視し、互恵的協力のために開放性と統合性を維持すること、イノベーション主導の発展を促進し科学技術の成果を共有すること、ガバナンスにおける政策調整と相互学習を高めること、そして人的交流を通じて双方の絆を強化するべきだと述べました。