科学技術およびデジタル変革の導入は、都市と農村の格差を縮め、スマートかつ持続可能な新しい農村地域の発展を目指す上での鍵と見なされています。
変貌を遂げる農村地域
ニンビン省のギャオニン村(旧ギャオフォン、ギャオティン、クァットラム町)は、1人当たりの年間平均所得が1億VNDを超える、モデルとなる新農村地域の整備を完了しました。
ギャオニンは、農業・環境省が選定した、スマート新農村地域構築の試験的導入を行う9つの村の一つでもあり、総額1,100億VND(うち中央・省予算から5億5,000万VND、残りは地元予算)の投資を受けています。この資金を活用し、ギャオニンはスマート新農村地域実現への突破口としてデジタル行政の構築を行うことにしました。村の合併と二層制行政システムの設立後、公共行政サービスセンター、スマート教室、スマートカメラシステム、遠隔医療相談プラットフォームが整備されました。
ギャオニン公共行政サービスセンターの副所長ファム・フー・ゴック氏は、二層制システムの運用開始後、住民の行政手続きのニーズに応えられていると述べました。システム操作に不慣れな高齢者に対しては、研修を受けた職員が丁寧に指導・支援し、高い住民満足度を実現しているということです。
住民のマイ・ティ・ゴックさんは「村の職員の丁寧な指導と連携したデジタルデータシステムのおかげで、土地使用証明書の子供への名義変更手続きが迅速に完了しました。職員の態度と効率性にとても満足しています」と語りました。
行政サービスの向上に加え、道路の交差点などに設置された録画機能付きのスマートカメラシステムは、警察による治安維持や交通秩序の確保に貢献しています。
公共行政サービスセンターや監視システムと並行して、村では3つのスマート教室と、コンピューターや自動点呼カメラを備えたデジタル図書館も整備され、学校での「デジタル学習」推進に役立っています。ギャオフォン中学校のグエン・ヴァン・カン副校長によりますと、全教員が研修を受け、今年度からスマート教室システムを導入しているといいます。
ギャオニン人民委員会のヴー・フオン・ニュン副委員長は、住民が二層制地方行政の運営に満足し、安心して生産や経済発展に専念できるようになったと述べました。
ニンビン省新農村地域調整事務局のレ・ホン・ドゥック副局長は、同省が近く、再編された村の標準・先進・モデル新農村地域の基準達成状況を審査・評価・認定する予定であると述べました。中央からの指針が出され次第、2026~2030年期のリーダーシップや実施枠組みの構築についても助言する方針です。現時点では、「一村一品(OCOP)」プログラムの拡大と農村経済の発展に注力していくといいます。現在、同省には3つ星以上のOCOP製品が980品目あります。
未来への不可避な道
2020~2025年期の国家目標プログラム中央指導委員会によりますと、農村の医療・教育・文化スポーツインフラは総合的な投資を受け、住民の基本的なニーズに応え、生活の質向上に寄与しているとのことです。「コミュニティデジタル技術グループ」や全村でのインターネット普及率100%などのモデルが、タインホア省、ハティン省、ドンタップ省、そして現在はニンビン省など多くの省で確立されています。これらの取り組みは、都市と農村のデジタル格差を埋めるだけでなく、バランスの取れたデジタル・経済成長の機会も提供しています。
スマート新農村地域の発展や「スマート農民」は不可避の流れとなり、農業取引や物流インフラにも大きな影響を与えています。全国各地で、集荷・加工・保存施設が集落や町内レベルでも整備され、生産と市場が連携し、収穫後の損失削減や製品価値向上につながっており、農業が多価値・持続可能なモデルへと徐々に転換しています。
ギャオニンのような成功モデルを広げるため経済専門家は、地域の実情に合わせた全国共通の新農村地域基準の策定と、地域特性に基づく基準設定の権限を地方に委ねることを提案しています。量から質への転換を図り、達成した基準の維持・向上や、コミュニティの力と地域ごとの知識を活かした村レベルの新農村モデルの構築に重点を置くべきだといいます。また、地域の特性に合った専門性の高い新農村モデルの開発も奨励しています。
国会副議長のレ・ミン・ホアン氏は、これらの目標を早期に達成するために、地域特性に基づく創造性が新農村地域づくりに不可欠だと指摘しています。村レベルの開発空間は単なる生産拠点にとどまらず、文化・社会・コミュニティが一体となった空間であり、農村住民の能力と知識が決定的な要素になると述べました。
経済の専門家で元農業農村開発省政策戦略研究所長のダン・キム・ソン博士は、経済発展と並行して、農村労働者を呼び戻して農村経済発展に貢献させるための仕組みや政策が必要だと述べ、「農業離れ・故郷離れ」の状況を終わらせるべきだと強調しました。文化・科学・技術・経済基準は住民自身が策定すること、農村がサービス、OCOP、観光分野で独自の企業を育成し、都市住民を農村部に引き戻すことが必要だという考えを示しました。
中央新農村地域調整事務局のゴー・チュオン・ソン局長は、今後は科学技術の農業・農村開発への応用、特に育種技術、先進的な栽培技術、スマート農業機器の導入が不可欠だと強調しました。職業訓練の多様化により、新たなスキルを身につけた農業従事者の非農業分野への転換を促進しつつ、デジタル技術を活用した農村経済、サービス、観光、農村eコマースの発展も推進すべきだと述べました。
制度・政策の革新と地方の努力により、ベトナムにはさらに多くの暮らしやすい農村コミュニティが誕生し、さらには伝統と現代性が調和し、文化的アイデンティティと自然景観が技術・デジタル変革・eコマースの基盤によって守られる理想的な農村が実現する予定です。
2021~2025年期の国家目標中央指導委員会によりますと、2030年までに全国の少なくとも80%の村が新農村地域基準を達成し、その中で35%以上が高度な新農村地域、10%が近代的な新農村地域に分類される見通しとのことです。高度な新農村地域の約50%が、近代的な新農村地域基準の70%を満たすことも期待されています。