日本政府 総合経済対策決定 高市政権最初の試金石に

日本政府は臨時閣議で、物価高への対応を目的とした、約21兆3,000億円(約1,350億ドル)規模の新たな総合経済対策を決定しました。専門家の間では、これを国民のための政策と評価するとともに、日本初の女性首相である高市早苗氏の信頼性を問う最初の試金石になると見ています。

1万円紙幣(写真:THX/VNA)
1万円紙幣(写真:THX/VNA)

就任からわずか1か月の高市首相の下で初めて策定された経済刺激策に対しては、肯定的な評価と懸念の声の両方があがっています。地方自治体や民間部門の拠出を合わせると、今回の経済対策の総額は42.8兆円に達する見通しで、前年の39兆円を上回る規模となります。

今回の経済対策の主な焦点の一つは、造船や人工知能(AI)といった戦略分野への財政投資であり、日本が長期的な成長の原動力を維持することが期待されています。

一方で専門家は、この経済対策の副作用として、円安を招いている点を指摘しています。円安の進行により、投資家が円や国債を急速に売却する動きが広がっています。これには、日本の財政見通しに対する市場の懸念も映し出されています。

多くの専門家は、経済刺激策自体は国民や経済成長目標に向けた政府の努力を示すもので評価できるとしつつも、日本の公的債務がすでに国内総生産(GDP)の2倍に達している現状を踏まえると、時期としては適切ではないとの見方を示しています。

多くの専門家は、経済刺激策自体は国民や経済成長目標に向けた政府の努力を示すもので評価できるとしつつも、日本の公的債務がすでにGDPの2倍に達している現状を踏まえると、時期としては適切ではないと指摘する。

市場では、高市首相が、成長促進や財政赤字の補填のために国債発行を拡大するのではないかとの懸念が広がっており、円安傾向が続いています。

こうした懸念は、日本の財政状況が先進7カ国の中でも最も脆弱とされていることが根拠となっています。

円安が進むことで輸入価格が大幅に上昇し、エネルギーや食料の多くを輸入に頼る日本にとって、家計だけでなく国全体の経済状況にも悪影響が及んでいます。

国会での質疑応答で、日本銀行の植田和男総裁は、円安が消費者物価に悪影響を与え、家計支出に大きな打撃を与えていることを率直に認めました。

一方で、円安は輸出企業に大きな利益をもたらしており、日本経済にとって重要な成長の原動力にもなっています。

先行き不透明な金融情勢の中、片山さつき財務大臣は円安の進行に警鐘を鳴らしました。片山大臣は、必要に応じて政府が為替市場に即時介入し、安定を確保する方針を投資家や企業に対して表明しました。

大臣は、円が対米ドルで過去最低水準となったことについて企業や国民に共感を示しつつも、過度に懸念する必要はないと強調しました。昨年7月にも政府が為替市場への介入を成功させたことを引き合いに出し、落ち着いた対応を呼びかけました。

日本国内では、円安の悪影響を和らげるため、日本銀行が近く利上げに踏み切るのではないかとの観測が広がっています。

日本国民の視点から見ると、今回の経済対策には高く評価される点も多い。

日本国民の視点から見ると、今回の経済対策には高く評価されている点も多く含まれています。具体的には、18歳以下の子どもを持つ家庭に対し、所得制限なしで子ども1人当たり2万円を給付する施策(政府予算約4,000億円)、地方自治体を通じて1人当たり3,000円分の米券や商品券を配布する措置、暫定ガソリン税の廃止、家計負担軽減のための所得非課税枠の引き上げなどが挙げられます。

また、政府は2026年第1四半期(1〜3月)の家庭向け電気・ガス料金を補助するため、5,000億円を計上しています。これにより、3か月間で1世帯当たり平均約7,000円エネルギー費用の負担が軽減される見通しです。

さらに、食料品価格の高騰が続く中、地方自治体が物価高対策を実施できるよう2兆円を支援する方針です。

経済対策の財源確保のため、政府は11月28日にも補正予算案を閣議決定し、年内の国会承認を目指す方針です。

今回の経済対策には、一般会計支出が17.7兆円盛り込まれており、石破茂前首相時代の13.9兆円を大きく上回ります。これは、日本初の女性首相である高市首相の積極的な財政出動姿勢を反映したものとみられています。

一方で、専門家の間には依然として効果に疑問視する声もあります。物価上昇が続く状況で消費を刺激すれば逆効果となり、物価の抑制につながらないどころか、かえって上昇を助長する可能性があるとの指摘が出ています。

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