10月1日、ハノイ市人民委員会は、市内の文化産業センターの組織および運営に関する計画第270/KH-UBNDを発表しました。これに先立ち2025年9月13日には、ベトナム文化産業振興協会(VCIDA)がホーチミン市で正式に発足し、企業、アーティスト、行政機関を結ぶ大規模なネットワークが誕生しました。
地域の取り組み
ハノイ市では、新たに発表された計画第270/KH-UBND号が、首都の文化産業発展に向けた包括的なエコシステムを形成する「創造の地図」として位置づけられています。2025年には、歴史的遺産や都市空間といった地域の強みを活かし、民間投資や官民連携(PPP)を呼び込むかたちで、1〜2か所の文化産業センターの設立が目指されています。さらに2030年までに10か所の文化産業センターを整備し、2045年までには紅河沿いに近代的かつ大規模な文化産業コンプレックスを建設する計画です。
ハノイ市ではこれまでにも、フェスティバルやナイトツアーなど、数多くの文化イベントが開催されてきました。ホアンキエム湖周辺の歩行者天国、ハノイ・ブックストリート、タンロン遺跡など、地域に根ざした文化・芸術空間も整備されています。ハノイ市は、文化産業を、デジタルエコシステムの整備と国際的な連携の強化を伴う戦略的経済分野として発展させていく決意を示しています。
同様に、ホーチミン市も「2030年までのホーチミン市文化産業発展プロジェクト」を策定し、映画、舞台芸術、美術、写真、展示会、広告、文化観光、ファッションの8つの重点分野に注力しています。本プロジェクトでは、2025年までに文化産業の平均成長率を約14%とし、GRDP(域内総生産)への貢献度を5.7%とすることを目標としています。さらに2030年までには、平均成長率約12%、GRDPへの貢献度を7〜8%とすることが掲げられています。
市はまた、国際映画祭や大規模な芸術プログラムなど、数万人を動員する文化イベントも開催しています。
2024年には、伝統芸能と最新の照明技術を融合させたリバーフェスティバルが450万人以上の来場者を集め、市への観光客数を130万人増加させる効果をもたらしました。このフェスティバルは、2025年国際ビジネスアワード(IBA)の芸術・エンターテインメント・公共フェスティバル部門で金賞を2つ受賞しました。
最近では、ベトナム文化産業振興協会の発足式が開催され、数百の企業やアーティストがテクノロジー企業と協力協定を締結しました。市は、東南アジアの文化産業ハブとなり、ユネスコの「創造都市ネットワーク」映画分野への加盟を目指す強い意志を示しています。
「都市の文化産業—アイデンティティから創造性へ」と題したセミナーで、ホーチミン市スタートアップ&イノベーションハブ(SIHUB)暫定ディレクターのダン・ティ・ルアン氏は、「文化産業は発展戦略であるだけでなく、世界に羽ばたく準備ができている若く野心的な都市の鼓動でもある」と述べました。
ダナン市も文化産業発展の「鼓動」に加わり、2025年ダナン国際花火フェスティバル(DIFF)ではそのブランド力を再確認し、188万人以上の観客を動員、推定観光収入は5,600億ドンに達しました。このフェスティバルは、舞台芸術の創造的な場であるだけでなく、地元企業と国際的なパートナーとの連携機会を創出し、文化プロモーションを促進する機会ともなりました。
ラムドン省では、2024年のダラット・フラワーフェスティバルが同市を地域の「花の首都」として知られるようにし、200万人の来訪者を集め、地域のGRDPに3,600億ドン以上の貢献を果たしました。
クアンニン省では、文化産業の発展に資源を集中させ、ハロン市に文化創造産業区および複合パイロットプロジェクトの建設に取り組んでいます。これに伴い、ハロン湾を舞台にした芸術プログラムや遺産ツアー、伝統芸能の公演、ナイトエコノミーの推進が進められています。
飛躍への展望
現在、党と国家の政策方針が、ベトナムの文化産業にとって世界的な飛躍を遂げる「黄金の機会」をもたらしています。「文化産業—ベトナムの創造力の無限の宝を開く道」と題されたセミナーで、ベトナム文化産業開発研究センター(S-DCI)所長のグエン・トゥ・ハイン博士は、「バリューチェーンの拡大や産業連携、技術の活用が進めば、ベトナムのアイデンティティを世界に通用する製品へと昇華させることができる」と述べました。
 文化・スポーツ・観光省のデータによりますと、2018年から2022年の期間に文化産業は国のGDPに平均1,059兆ドン寄与し、2022年には約4%を占めました。2030年までの文化産業発展戦略(2045年までのビジョン)では、2030年までに文化産業のGDP寄与率を7%に引き上げる目標が掲げられています。
専門家によりますと、ベトナムの文化産業は豊かな文化資源と創造力、そして高まる文化消費市場の需要を背景に、依然として大きな潜在力を秘めています。
しかし、文化産業が飛躍するためには、いくつかの障壁を取り除く必要があります。例えば、一貫性に欠ける旧態依然とした法制度や、試験的な段階にとどまる政策、文化産業への投資資金の調達の限界、企業が投資資金にアクセスしにくい状況などが挙げられます。さらに、高品質な人材の不足、一部分野でのデジタル化の遅れ、知的財産権の保護が不十分であることも課題となっています。
ホー・アン・フォン文化・スポーツ・観光副大臣は「文化産業発展のためには、企業や社会に新たな原動力をもたらす先駆的な政策と指針が必要だ」と述べました。