グリーンで持続可能な成長を目指しベトナムとEUの貿易協力の強化へ

10月17日にホーチミン市で開かれたフォーラムで、EU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)は、両者の経済・貿易関係を新たな高みに引き上げたものの、発展の余地はまだ多く残されており、行政機関とビジネス界が連携して取り組む必要があるとの見解が示されました。

2025年10月17日、ホーチミン市で開催された「ベトナム・EU 経済・貿易協力フォーラム」の参加者たち(写真:VNA)
2025年10月17日、ホーチミン市で開催された「ベトナム・EU 経済・貿易協力フォーラム」の参加者たち(写真:VNA)

ベトナム商工省(MOIT)、EU加盟国大使館、在ベトナム欧州商工会議所(EuroCham)が共催した「ベトナム・EU 経済・貿易協力フォーラム2025」において、商工副大臣ファン・ティ・タン氏は、EVFTA発効から5年が経過した現在、世界経済の逆風にもかかわらず、ベトナムとEUの貿易協力は引き続き好調な成長を維持し、前向きな変化が見られると述べました。

ベトナム税関のデータによりますと、双方向の貿易額はEVFTA発効前の489億米ドルから、発効5年目には約780億米ドルへと着実に増加し、年平均成長率は10%を超えています。ベトナムのEU向け輸出は年平均11.7%増加し、EUからの輸入も年平均6.1%の伸びを示しました。

現在、EUはベトナムにとって主要な貿易相手国であり、輸出市場としては第3位、輸入市場としては第5位に位置しています。一方、ベトナムはEUにとってASEAN域内で最大の貿易相手国であり、EU市場への主要な輸出国のトップ10にも入っています。

タン副大臣は、EVFTAが貿易促進や市場多様化のみならず、経済構造改革、制度改革、投資環境の改善にも大きな推進力をもたらしていると強調しました。また、同協定はグリーン経済、デジタル経済、エネルギー転換、持続可能な開発といった優先分野での新たな協力の道を開き、EUの重点分野とベトナムの社会経済発展目標の双方に合致していると述べました。

商工副大臣ファン・ティ・タン氏が10月17日、ホーチミン市で開催されたフォーラムで発言する様子(写真:VNA)
商工副大臣ファン・ティ・タン氏が10月17日、ホーチミン市で開催されたフォーラムで発言する様子(写真:VNA)

同氏は、世界的な不確実性が続く中、ベトナムがこれらの機会を最大限に活かすためには、引き続き機敏かつ柔軟に対応する必要があるとし、高度に開かれた経済を持つベトナムは、グローバル・バリューチェーンへのさらなる深い統合を積極的に進め、自国の地位を強化すべきだと述べました。

EuroCham副会長のジャン=ジャック・ブフレ氏は、EUがベトナムを貿易多様化、投資拡大、柔軟なサプライチェーン構築において重要なパートナーと見なしていると発言しました。ベトナムは、若く活力ある労働力、先進的な改革、イノベーションと持続可能性への強いコミットメントにより、持続可能な製造、投資の地域拠点としてますます存在感を高めていると述べました。

EuroChamの調査によりますと、EU企業トップの76%がベトナムを魅力的な投資先として見ており、またベトナムに進出している欧州企業の80%が今後5年間の力強い成長見通しに楽観的な見方を示しているということです。これらの要素が、ベトナムとEUの長期的な繁栄とより深いパートナーシップの確固たる基盤となっているとブフレ氏は述べました。

一方でブブレ氏は、依然として大きな課題が残っていることも認めました。EuroCham加盟企業の多くの加盟企業が指摘しているように、複雑な行政手続きが依然として大きな障壁となっており、手続きの遅延やコストの増加を招き、業務効率にも悪影響を及ぼしているといいます。

EuroChamは、近年のベトナム政府による重複手続きの撤廃、規制緩和、より活発で透明性の高いビジネス環境の推進など、力強い改革努力を高く評価しています。

ベトナムの農業発展に長年携わるパートナーであるDe Heus Viet Namおよびアジアのヨハン・ファン・デン・バンCEOは、製品の透明性、倫理的調達、環境責任に対する消費者需要の高まりを強調しました。アジア全域で食品安全、動物福祉、環境保護が重要な優先事項となっており、欧州のパートナーもESG基準やEU炭素国境調整メカニズム(CBAM)、欧州森林破壊防止規則(EUDR)など新たなEU規制への対応を進めています。

こうした状況の下、グリーンかつ持続可能な流れに迅速に適応できない企業は、グローバル・バリューチェーンにおける地位を失うリスクがあると指摘しました。そして、政府と企業、国際パートナーが戦略的に連携し、グリーン転換を推進する必要性を提言しました。

VNA
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