10月下旬に「IUU(違法・無報告・無規制)漁業対策強化月間」の行動計画を打ち出したハイフォン市は、欧州委員会(EC)による「イエローカード」警告の2025年中の解除に向け、包括的かつ徹底した対策を展開しています。
水産業に新たな動き
9月時点で、ハイフォン市には820隻の漁船が登録されており、すべてが適切に登録・許可・認証を受けています。このうち全長15メートル以上の283隻には漁船監視システム(VMS)が搭載され、24時間途切れることのない接続が確保されています。市人民委員会によりますと、基準を満たさない船舶は出港を禁止されているということです。
2024年4月から2025年9月にかけて、当局は延べ2万1700件の入出港を管理し、この期間の水揚げ量は総計4400トンを上回りました。当局は、すべての水産物について航海データ、漁獲日誌、報告書を照合し、流通経路を完全に把握しています。
2024年から2025年にかけて、漁船監視システム(VMS)の通信遮断、漁獲日誌の未記入、基準を満たさない船舶の運航などの違反で、300件を超える摘発があり、科された罰金額は総額で40億ドン(約15万3,000米ドル)に上っています。
ハイフォン市は、総面積3万5,000ヘクタールを超えるバックロンヴィおよびカットバ-ロンチャウ海洋保護区を設置したほか、5つの海洋保全区域と、ダードー川、ヴァンウック川、ザー川沿いに3つの内陸保全区を設けています。さらに、これまで3回にわたり、稚魚やエビ、カニ、貝類など計210万匹を放流し、自然生態系の回復にも取り組んでいます。
また、同市は漁業にとどまらず、観光や環境保全と融合したハイテク養殖の推進にも力を入れています。木製いけすを高密度ポリエチレン(HDPE)製に切り替えた施設は10か所に上り、カットバー湾では指定区域内で80を超える養殖場が操業しています。さらに、デジタル技術や自動化システムを活用した集約型養殖モデルのうち、いくつかはVietGAP認証を取得し、生産性の向上と食品の安全確保を実現しています。
持続可能なブルーエコノミーの推進
行動計画に基づき、ハイフォン市は10月30日までに、基準を満たすすべての漁船の登録、検査、再許可の手続きを完了するとともに、基準を満たさない船舶については出港を禁止し、厳重に監視します。さらに当局は、漁船所有者や停泊位置、操業ルートを正確に把握できるよう、国民識別システム(VNeID)と連携した国家漁業データベース(VNFishbase)の更新も義務づけられています。
同市は、すべての漁船への識別標識の表示、入出港の完全管理、海上巡回・検査の実施を徹底しています。漁業協同組合や漁船団の運航者は毎週、進捗報告書を農業・環境局に提出し、同局が農業・環境省および市人民委員会向けに報告を取りまとめます。
行動計画の重点の一つは、水産業管理のデジタルトランスフォーメーションです。ハイフォン市はすでに、すべての港で電子漁獲日誌(e-logbook)と電子トレーサビリティシステム(eCDT)の導入を開始しています。11月中旬までに、全長15メートル以上の漁船はeCDTを通じて入出港を登録することが義務づけられ、水産加工業者や買付業者も同じプラットフォーム上で漁獲データを記録する必要があります。
同市はまた、農業・環境省に対し、漁船監視ソフトウェアの改良や電子報告システムの高度化を求めるとともに、ハイフォン市の主要漁業拠点における新たな基幹漁港およびバクロンヴィ島での荒天時の避難区域整備への優先的投資を提案しています。さらに、漁業者の持続可能な生計手段への移行や、安定した通信環境を確保するためのVMS機器の更新を支援する政策も検討されています。
また、IUU漁業防止に関する規定の理解と遵守を徹底するため、漁業者や船主一人ひとりに直接働きかける啓発活動も強化されています。