65年間発展を続けてきたベトナムの観光業が、初めて年間2,000万人の外国人観光客を受け入れるという歴史的な節目を迎えました。
包括的な飛躍
世界経済の不安定化や観光地間の競争が激化する中でのこの成果は、ベトナム観光業の力強い成長を示すとともに、安全で友好的、かつ豊かな文化を持つ国として国際社会からの信頼を反映するものです。
ベトナムを訪れた2,000万人目の外国人観光客(ポーランド国籍のカロリナ・アグニエシュカ・ムスクスさん、1984年生まれ)を歓迎する式典で、ホー・アン・フォン文化・スポーツ・観光省副大臣は次のように述べました。
「この節目は、世界の観光業が新型コロナウイルス感染症による未曾有の困難を経験した直後に達成されたという点で、より大きな意義を持つ。ベトナムが2022年3月15日に観光活動を全面再開して以来、観光業は継続的に回復・成長を遂げてきた。2023年には1,260万人、2024年には1,760万人、2025年には2,100万人超と見込まれており、パンデミック前のピークである2019年の1,800万人を大きく上回っている」。
国連観光機関の評価によりますと、この成長率は世界平均の5%を大きく上回り、アジア太平洋地域の平均8%も凌駕しており、ベトナムは世界で最も速い回復・成長を遂げている国の一つとなっています。新型コロナ前と比較すると、世界の観光業が約90%の回復にとどまる中、ベトナムの観光業は110%以上の回復を果たしている。
ベトナムの壮大な自然景観、温かく親しみやすい国民性、多様で独自性豊かな文化などが今回の成果につながった要因だとされています。加えて、ベトナムは開かれたビザ政策を実施し、多くの国に対するビザ免除の拡大、電子ビザの広範な導入、滞在期間の延長など、観光客にとって非常に有利な条件を整えてきました。これらの施策により、アジアからの訪問者(1,360万人超)を中心に大幅な増加が見られました。ヨーロッパからの訪問者も210万人を超え、2024年比で34.9%増加しました。
さらに、観光プロモーションやマーケティング活動も絶えず刷新され、現代的な手法やデジタル技術、ビッグデータ、AIの活用によって市場動向を的確に捉えています。国際的なプロモーションプログラムも強化され、体験型観光、グリーンツーリズム、文化観光、エコツーリズム、イベント・会議と組み合わせた観光など、消費額が高く長期滞在する層をターゲットに投資が拡大しています。同時に、主要市場との航空ネットワークも大幅に拡充されています。
2025年全体では、ベトナム観光業の飛躍は2,000万人という外国人観光客数の節目だけでなく、成長の質にも表れています。外国人観光客の急増とともに、国内観光も引き続き成長を牽引する柱となっています。専門家によりますと、2025年の観光収入は過去最高を記録する見通しであり、国の経済成長を後押しし、ベトナムの世界の旅行先としての地位を確立するとともに、持続可能な形で成長が期待される基幹産業としての潜在力を改めて示しています。
急成長から持続可能な発展へ
こうした成果を背景に、ベトナム観光業は基幹産業としての役割をさらに確立する大きな機会を迎えています。しかし、課題や制約についても認識する必要があります。
12月15日に開催された「2025年までのベトナム観光商品開発戦略と2030年ビジョン」総括会議で、ベトナム国家観光局のハー・ヴァン・シエウ副局長は、法的枠組みや管理メカニズムの未整備、突破口となる政策の不足、地方における観光関連インフラや支援サービス(交通連携、公共衛生、駐車場、治安・秩序、計画策定など)課題を指摘しました。多くの観光商品が文化遺産の価値を十分に活用できておらず、地域間連携ツアーやルートも限定的で、象徴的な商品が強い印象を残せていないため、今後は開発思考の刷新と観光商品の質・持続可能性の向上が求められるとしています。
シエウ副局長は、世界の観光がグリーン開発、体験経済、ナイトタイムエコノミーへと大きくシフトする中、ベトナムの観光商品開発も統合的かつ多価値型のアプローチを採用し、質・持続可能性・顧客体験を中心に据えるべきだと提案しました。制度・政策の改善は観光商品開発のための有利な法的環境を整える鍵であり、資源や独自性と結びついた高付加価値の観光商品モデルの構築・普及が重視されています。
ベトナム国家観光局のグエン・チュン・カイン局長は、観光開発における人材と技術の重要性を常に強調しています。カイン局長によりますと、ベトナムの観光人材は、外国語やコミュニケーション能力から専門的スキルに至るまで、国際基準に対応できるよう体系的な人材育成が必要だといいます。同時に、観光価値を高めるための技術導入の加速も不可欠な要件となっていると述べました。
現在、近隣諸国も柔軟な政策や新商品で観光客誘致を強化しています。観光客の再訪を促し、さらには「観光大使」としての役割を担ってもらうことが重要です。そのため、前述の課題解決と並行して、多くの専門家は、当局や地方が友好的な観光環境を整備し、不当な料金請求や過度な商業行為、治安・秩序の乱れといった負の要素を防ぎ、安心で友好的な観光環境を維持することが欠かせないとしています。
2030年に向けたベトナム観光商品開発戦略の実施方針では、持続可能な観光開発の要件が強調されています。これは、遺産の保全・活用とグリーンツーリズム、責任ある観光開発、環境に配慮した取り組みを密接に結びつけ、ベトナム観光の魅力的かつ独自性あるイメージ構築に貢献するものです。観光が健全かつ持続的に発展することこそが、ベトナムのイメージを世界に発信する最も効果的かつ自然な方法となります。