ベトナムとクウェート 両国関係を戦略的パートナーシップへ格上げ

ファム・ミン・チン首相は11月17日、クウェート市でクウェートのアフマド・アブドゥッラー・アフマド・アル・サバーハ首相と会談し、両国関係を戦略的パートナーシップへ格上げすることで合意しました。

ファム・ミン・チン首相(左)は、11月17日にクウェート市でクウェートのアフマド・アブドゥッラー・アフマド・アル・サバーハ首相と会談を行った。(写真:VNA)。
ファム・ミン・チン首相(左)は、11月17日にクウェート市でクウェートのアフマド・アブドゥッラー・アフマド・アル・サバーハ首相と会談を行った。(写真:VNA)。

クウェート首相は、ファム・ミン・チン首相およびベトナムの高官代表団を歓迎し、今回の訪問が両国関係に新たな原動力をもたらす歴史的な節目であり、より深く、実質的かつ効果的な協力の新たな段階を切り開くものだと述べました。

同首相はまた、ベトナムの目覚ましい発展成果を称賛し、国際社会におけるベトナムの地位向上により、今後もアジア太平洋地域および世界の平和、協力、発展に積極的に貢献し続けるとの確信を示しました。

チン首相は、クウェートが「ビジョン2035」の目標に向けて経済モデルの転換と持続可能な発展を遂げていることを祝福し、ベトナムがクウェートとの友好と多面的な協力を常に重視していることを強調しました。クウェートは1976年、ベトナムと外交関係を樹立した最初の中東諸国です。

この機会に、チン首相はクウェート首相にベトナムへ公式訪問を行うよう招待するとともに、トー・ラム書記長、ルオン・クオン国家主席、チャン・タイン・マン国会議長からクウェートのメシャル・アルアハマド・アルジャーベル・アル・サバーハ首長および他のクウェート指導者への挨拶と招待の言葉を伝えました。

両首脳は、約半世紀にわたる協力の中で、貿易、投資、エネルギー、教育、労働、開発支援など幅広い分野で二国間関係が着実に拡大してきたことを確認しました。クウェートは現在、ベトナムにとって中東地域における主要な貿易相手国であり、重要な開発パートナーにもなっていると指摘しました。

両首相は、両国関係を戦略的パートナーシップへと格上げし、ベトナム・クウェート関係をより強固で包括的かつ持続可能なものとするための主要な方向性を示しました。また、地域および国際的な共通の関心事項についても意見交換を行いました。

双方は、特にハイレベルを含むあらゆるレベルでの相互訪問の増加、政府間委員会や政治協議など既存の協力メカニズムの強化、さらにデジタルトランスフォーメーションに関する合同作業部会など新たな専門作業部会の設置を通じて、あらゆる分野での協力促進を図ることで一致しました。

また、安全保障および防衛分野での協力強化、経験共有、サイバーセキュリティや非伝統的安全保障課題への対応でも連携を深めることで一致しました。

両首相は、経済・貿易・投資協力を二国間関係の重要な柱と位置付け、2030年までに双方向貿易額を120~150億ドルに拡大することを目指すことで合意しました。

ベトナム側は、ベトナムと湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定(FTA)交渉の加速、およびベトナム・クウェート包括的経済連携協定(CEPA)に関する協議の検討をクウェートに提案しました。

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会談の様子(写真:VNA)

両国は、「利益の調和とリスクの共有」に基づき、ギーソン製油・石油化学プロジェクトの拡張に緊密に連携して取り組み、これを戦略的パートナーシップの象徴と位置付け、両国のエネルギー安全保障に貢献することで一致しました。

ベトナムは、クウェートでのプロジェクトに対し石油・ガス分野のサービスや熟練人材を提供する用意があることを表明し、石油備蓄・輸送拠点の開発など新たな協力案件の推進にも意欲を示しました。

クウェート首相は、ベトナムとの多面的な関係の重要性を強調しました。とりわけ格上げされた戦略的パートナーシップの枠組みのもと、両国にはさらなる協力拡大の余地が大きいと認識していると述べ、ベトナムでの投資機会を歓迎するとともに、クウェート公的投資基金やクウェートの投資家がベトナムで大規模かつ戦略的な案件を進めるよう後押しする意向を示しました。さらに、クウェート・アラブ経済開発基金に対し、両国の利益に合致するODA案件を引き続き推進するよう指示したと明らかにしました。クウェート首相は、両国間の航空協定の早期締結や、両国を結ぶ直行便の開設可能性についても検討を進めることを提案しました。

食料安全保障分野での協力の可能性に言及し、クウェート首相は、ベトナムに農産物生産工場を建設し、クウェートおよび地域諸国への輸出を目指す投資を推進する意向を示しました。

ファム・ミン・チン首相とクウェートのアフマド・アブドゥッラー・アフマド・アル・サバーハ首相が、ベトナムとクウェート間の外交・公用旅券所持者の査証免除協定改正議定書、およびベトナム外務省傘下の外交学院とクウェート外務省傘下のサウド・アル=ナセル・アル=サバーハ外交学院との協力覚書の署名式に立ち会った。(写真:VNA)
ファム・ミン・チン首相とクウェートのアフマド・アブドゥッラー・アフマド・アル・サバーハ首相が、ベトナムとクウェート間の外交・公用旅券所持者の査証免除協定改正議定書、およびベトナム外務省傘下の外交学院とクウェート外務省傘下のサウド・アル=ナセル・アル=サバーハ外交学院との協力覚書の署名式に立ち会った。(写真:VNA)

チン首相は、クウェートの食料安全保障確保のため、コメを含む戦略物資に関する長期的な枠組み協定の交渉や、ベトナムにおけるハラール・エコシステム構築支援プロジェクトの実施を提案しました。また、クウェート投資庁(KIA)を含むクウェートの投資ファンドや企業のベトナム国際金融センターへの投資を歓迎し、必要な支援を提供する用意があると表明しました。

経済協力にとどまらず、両国は科学技術、デジタルトランスフォーメーション、イノベーション、サイバーセキュリティ、再生可能エネルギー、教育・人材育成、観光、人的交流など新たな分野での協力拡大にも合意しました。両首相は、教育・文化協力を両国の長期的な友好関係の持続的な基盤とすることで一致しました。

クウェート首相は、STEMや基礎科学など新分野でのベトナム人学生向け奨学金の拡充を約束し、外交関係樹立50周年(1976~2026年)を記念して「ベトナム・デー・イン・クウェート」および「クウェート・デー・イン・ベトナム」の共同開催にも合意しました。また、両国民の査証免除の可能性についても協議しました。

地域・国際情勢に関する共通関心事項について、両首相は、国連(UN)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、湾岸協力会議(GCC)など地域・国際の多国間枠組みでの協力を強化していくことで一致しました。また、国際法および国連憲章に基づき、平和的手段によって紛争を解決するという共通の立場を共有しました。ガザやシリアに対する最大の人道支援国の一つであるクウェートは、中東地域での復興活動の実施に向けたベトナムの協力を歓迎しました。

会談後、両首相は、ベトナムとクウェート間の外交・公用旅券所持者の査証免除協定改正議定書、およびベトナム外務省傘下の外交学院とクウェート外務省傘下のサウド・アル=ナセル・アル=サバーハ外交学院との協力覚書の署名式に立ち会いました。

VNA
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