ハノイ、河川と湖の再生に向けた取り組み

かつて「川と湖の都市」として知られたハノイは、深刻に汚染された河川や池の再生に取り組んでいます。持続可能な都市開発に向けた明確なビジョンのもと、市は多くの河川や湖の生態系の美しさを回復させてきました。緑豊かで文明的、かつ現代的なハノイの姿が徐々に形作られています。

タイ湖とチュックバック湖は、深い歴史的・文化的価値を持ち、ハノイ市民にとって重要な存在となっている。(写真:トゥエ・ギー)
タイ湖とチュックバック湖は、深い歴史的・文化的価値を持ち、ハノイ市民にとって重要な存在となっている。(写真:トゥエ・ギー)

ハノイはいま一年で最も過ごしやすい季節を迎えています。トーリック川をはじめとする河川や湖で環境改善が進み、市内の景観も清潔で緑豊かなものへと変化しています。

よみがえる河川

トーリック川沿いを歩くと、かつて深刻な汚染に苦しんだ河川が大きく変貌したことを実感できます。川の水は次第に澄み、木々の影を映すようになりました。この急速な変化に多くの市民が驚いています。ゴックハー区に住むグエン・ドゥック・ハイさんは、「何十年もの間、トーリック川が汚染された状態に慣れてしまっていた。市は何度も整備を行ってきたが、しばらくすると元に戻ってしまっていた。いまは明らかにきれいになっている。まだ完全ではないが、とても良くなった」と話しています。

第15期国会第10会期を前にしたハノイ市第1選挙区の有権者との会合で、トー・ラム書記長はトーリック川の整備におけるハノイ市の積極的かつ果断な取り組みを高く評価しました。書記長は「最近、トーリック川がより清潔で緑豊かになり、市民も大変喜んでいる」と述べました。

歴史と文化を持つ「ハノイの龍脈」とも称されるトーリック川は、数十年にわたり深刻な汚染に苦しんできました。

2024年11月27日、ハノイ市党委員会常務委員会との会合で、トー・ラム書記長は市に対し、汚染の根本原因の解決に取り組み、特にトーリック川をはじめとする河川の再生と首都に清らかな水の流れを取り戻すよう求めました。書記長の指示を受け、ハノイ市党委員会と人民委員会は直ちに関係機関によるタスクフォースを設置し、各部局や行政機関に具体的な任務を割り当てました。

限られた期間の中で、市はトーリック川の再生を長期的かつ持続可能なものとすることを重視しました。川底の浚渫と同時に、トーリック川へ流れ込む全ての排水口からの廃水を収集し、先進的な日本の技術を用いたイエンサー廃水処理場で処理しています。その後、基準を満たした処理水をトーリック川に戻し、清流の継続的な供給を実現しています。

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浄化されたトーリック川沿いに咲く花々(写真:MINH VAN)

上流域では、直径120cm・全長約1,500mの2本のパイプラインが2024年9月9日より正式に西湖からの取水を開始し、トーリック川に1日平均15,000m³の水を供給しています。水質は大幅に改善され、多くの場所で川底が見えるほど透明度が高くなり、多くの魚が自由に泳ぐ姿も見られます。

イエンサー廃水処理インフラ建設プロジェクト管理委員会のチュオン・クオック・バオ委員長は「これほどのスピードで進んだ環境改善プロジェクトは稀だ。指示を受けてすぐに着手し、昼夜三交代・四班体制で週末・祝日も休まず作業した。すべては首都の歴史ある川を蘇らせるためだ」と語ります。

トーリック川と並行して、ハノイ市は大規模な湖の整備も進めています。2025年には、ボーデー区に約6ヘクタールの公園と調整池が総投資額1,730億ドンで約2年かけて完成しました。10月初旬には、ロンビエン区で水面積27ヘクタール超のクーコイ調整池プロジェクトも正式に着工し、排水処理と景観形成の両面での役割が期待されています。

市北部では、ドンアン、ヴィンタイン、トゥーラム各社(コミューン)などで100以上の池や湖が整備されました。ティエップ川の整備・護岸プロジェクトも急ピッチで進められ、北部の都市景観づくりに寄与しています。

新都市エリアでは湖の建設がますます重視されています。代表例がヴィンホームズ・グローバルゲート都市区(ベトナム国家展示場隣接、ドンアイン)で、投資家が32ヘクタールの湖を造成し、景観と雨水調整の両面で地域に貢献しています。

河川と湖の都の持続的な美しさ

ハノイは古来より、紅河を中心に発展し、交易港として栄えてきました。紅河およびその水系の他の河川は市内を縫うように流れ、時の流れとともにその流路の変化が多くの湖を生み出しました。タイ湖やホアンキエム湖がその代表例です。

トーリック川、ニュエ川、ドゥオン川、カウ川、カーロー川、キムグー川、ルー川、ティエップ川など、市内外の多くの河川や湖とともに、ハノイはかつて「河川と湖の都」として知られていました。

しかし長年にわたり、その重要性への認識不足と管理の不十分さから、多くの水域が汚染されてきました。近年、ハノイ市はザンボー湖、ゴックカイン湖、バイマウ湖などの環境改善を進め、とりわけトーリック川の再生に注力しています。

民謡に歌われるような「清く涼しい」トーリック川を一夜にして実現することは不可能です。市内を流れる他の河川も深刻な汚染に直面しており、河川網は相互につながっています。そのため、トーリック川の再生はあくまで第一歩に過ぎません。

包括的な解決に向け、ハノイ市はトーリック川、キムグー川、ルー川、セット川の市内4河川を対象とする環境改善・開発計画を承認しました。汚染の管理・防止、生態系に配慮した河川網の構築、建築・景観の整備、能力強化と意識向上など、総合的な対策が盛り込まれています。

2025年10月初旬には、ルー川沿いに下水道を整備し、全廃水をイエン・サー処理場へ集約する事業も着工予定で、市内4河川再生の基盤づくりが進められています。

専門家からは、ハノイ市の取り組みを高く評価する声が上がっています。農業・環境省水資源管理局のグエン・ホン・ヒエウ副局長は、流域管理モデルの構築、水源回復の段階的試行、廃棄物・廃水の回収・処理システムへの総合的投資、流量確保のための調整施設整備を提案しました。また、工業団地、伝統工芸村、住宅地からの廃水を厳格に管理する必要性を強調しました。

河川や湖の美しさを取り戻す市の施策と並行し、専門家はハノイ市が環境教育の強化や地域社会の意識向上、環境保護の推進を図り、河川の浄化・再生における社会的合意の基盤を築くべきだと指摘しています。

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