ベトナム クウェートの東南アジア投資拡大の架け橋に

アラブ湾地域の戦略的要衝に位置するクウェートは、世界のエネルギー輸送ルートにおける重要な拠点とみなされています。原油埋蔵量は1,015億バレルで世界第6位、日量の原油生産も世界10位に位置しており、クウェートはこの中核産業の発展を維持・強化し、世界有数の石油輸出国としての地位を確固たるものにしています。

2024年12月に開催されたベトナムとクウェート両国外務省による第4回政治協議(写真:VNA)
2024年12月に開催されたベトナムとクウェート両国外務省による第4回政治協議(写真:VNA)

ベトナムとクウェートは、約50年前の外交関係樹立以来、国際社会への参画の場で互いに支援し合う伝統を堅持しつつ、さまざまな分野での協力を推進してきました。なかでも投資と貿易は、ベトナム・クウェート関係の中でも特に際立った分野です。

現在、クウェートはベトナムへの投資額が最も多い中東諸国であり、特にクウェートが35億ドルを出資したギーソン製油・石油化学コンプレックスへの投資が代表的な例です。クウェートから輸入される原油は、同コンプレックスの安定した操業を支える重要な要素となっています。2024年には、両国間の二国間貿易額が73億ドルに達し、これはベトナムと中東諸国との貿易関係の中で最高水準となりました。

ベトナムとクウェートは、約50年前の外交関係樹立以来、国際社会への参画の場で互いに支援し合う伝統を堅持しつつ、さまざまな分野での協力を推進してきた。なかでも投資と貿易は、ベトナム・クウェート関係の中でも特に際立った分野である。

このほか、両国はさまざまな分野で協力関係を維持しています。クウェート基金はこれまでに、全国各地の15件の案件を通じて総額1億8,200万ドルの支援を行い、ベトナムの基幹インフラ整備に寄与してきました。地方レベルでも、ホーチミン市とアハマディ県、タインホア省とファルワニア県の間で協力協定が結ばれ、代表団の相互訪問、投資・貿易促進、住民交流などが進められています。

教育・人材育成分野では、クウェート政府が2013年以降、毎年ベトナム人学生に対しクウェート大学でアラビア語を学ぶための奨学金を提供しています。

従来の協力分野にとどまらず、ベトナムとクウェートは石油・ガス・エネルギーといった高い成長可能性を持つ分野での連携拡大にも大きな潜在力を有しています。世界的に再生可能エネルギーへの転換が進む中、両国はそれぞれの国際的な目標やコミットメントに沿ったグリーンかつクリーンなエネルギー開発で協力する好機を迎えています。クウェートの資金力とベトナムの生産・技術力を活かし、太陽光発電、風力発電、グリーン水素プロジェクトの共同研究・投資を進めることも期待されています。

今後、両国は大規模プロジェクトで協力を促進し、地域における新たな金融ハブの開発を推進する潜在力を有している。ベトナムはクウェートが東南アジアへの投資を拡大するためのゲートウェイとなり得る一方、クウェートはベトナムが中東および周辺市場へアクセスするための戦略的パートナーとなりうる。

駐クウェート・ベトナム大使 グエン・ドゥック・タン

クウェートは現在、湾岸協力理事会(GCC)の議長国を務めています。近年、この湾岸国家は外交政策を調整し、ASEAN加盟国を含むアジア諸国への関与を強めています。クウェートは2023年9月に東南アジア友好協力条約(TAC)に署名し、2023年10月と2025年5月に開催されたGCC・ASEAN首脳会議では、両地域間の主要な協力課題についての議論に積極的に参加しました。

クウェート投資庁(KIA)は、世界第4位の規模を誇る約1兆650億ドルの政府系ファンドを運用しており、海外投資配分において重要な役割を担っています。ベトナムはその躍動する経済と魅力的な投資環境を背景に、クウェートの投資ファンドにとってより有望な投資先となることを期待しています。

駐クウェート・ベトナム大使グエン・ドゥック・タン氏によりますと、今後、両国は大規模プロジェクトで協力を促進し、地域における新たな金融ハブの開発を推進する潜在力を有しているといいます。ベトナムはクウェートが東南アジアへの投資を拡大するためのゲートウェイとなり得る一方、クウェートはベトナムが中東および周辺市場へアクセスするための戦略的パートナーとなりうるということです。

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