次世代型FDIに対応へ 求められるベトナム工業団地の高度化

新世代型の外国直接投資(FDI)に伴う厳格な基準は、ベトナムの工業団地に大きな課題を突きつけており、工業団地には高度化が求められています。

ベトナムには質の高い外国直接投資を誘致するための多くの有利な条件が備わっている。(写真:ナム・グエン)
ベトナムには質の高い外国直接投資を誘致するための多くの有利な条件が備わっている。(写真:ナム・グエン)

ベトナム商工会議所(VCCI)のホアン・クアン・フォン副会頭によりますと、新世代型の外国直接投資(FDI)は単なる利益追求にとどまらず、高度な技術、知識移転、グリーン開発、企業統治、社会的責任、持続可能な労働慣行にも重点を置いているといいます。

「グリーンレーン」メカニズム

このような状況の中、次世代型のFDIに関する現在の政策枠組みは、一連の決議によって一貫して形成されてきました。その中でも、2019年に政治局が発出した決議は、2030年までの外国投資誘致の方向性を定める重要な基盤となり、ベトナムの外国投資協力に新たな時代を開きました。

この資本流入は、より質の高いものとなり、特にヨーロッパやアメリカからのベトナムの社会経済発展に波及効果をもたらすハイテクや基盤技術に重点が置かれることが期待されています。

これに続き、2021~2030年の国際投資協力戦略、特別投資優遇メカニズム、戦略的プロジェクト向けの「グリーンレーン」メカニズム、投資支援基金などが導入されました。

直近では、世界的な地政学的・技術的競争の焦点となっている半導体人材の育成政策も打ち出されています。

これらの政策の成果として、2021年から2025年にかけてのFDI実行額は1,580億ドルを超え、政治局が設定した1,000~1,500億ドルの目標範囲を上回りました。

さらに、財務省は現在、工業団地(IP)および経済区(EZ)の管理に関する政令案について意見を募っており、投資優遇規定の大幅な見直しが提案されています。

この政令案の主な特徴は、温室効果ガス削減活動や産業共生モデルの構築に関する支出規定が盛り込まれている点です。このメカニズムにより、企業がクリーン技術への転換、省エネルギー、環境に配慮したソリューションの導入を促進する強力な財政的インセンティブが生まれます。

ベトナムは、イノベーションと持続可能な開発につながる地域の製造拠点へと転換する大きな機会を迎えている。

グエン・ドゥック・ヒエン 中央政策戦略委員会副委員長

中央政策戦略委員会のグエン・ドゥック・ヒエン副委員長によりますと、ベトナムはすでに質の高いFDIを工業団地に誘致するための多くの有利な条件を備えているといいます。それは、安定した安全な政治・経済・社会環境、およそ1億人規模の大きな市場、若く豊富な労働力などです。

ヒエン氏は、「ベトナムは、イノベーションと持続可能な開発につながる地域の製造拠点へと転換する大きな機会を迎えている。工業団地に次世代型のFDIを呼び込むための政策の精緻化は、この目標達成に極めて重要な役割を果たす」と強調しました。

改善が求められる分野

ベトナムのカーボン市場構築計画や温室効果ガス削減・オゾン層保護に関する政令の制定など近年の法整備を踏まえ、シンガポール商工会議所ベトナム支部のセック・イー・チョン副会頭は、グリーン投資の機会がさらに拡大すると見込んでいます。

しかし、ベトナムが政策立案から実行段階へと移行する中、進展を加速させるためには依然として改善が必要な分野があります。

喫緊の課題の一つは、特に屋上太陽光発電など持続可能な分野における認可手続きの簡素化です。現行の手続きは依然として長期化・複雑化しており、追加書類や説明が何度も求められることがあります。

場合によっては、認可当局が機器リースモデルを発電事業とみなすことで、事業分野に関する不要な要件が課された結果、プロジェクトの実施が遅れ、外国投資家の関心を損なう要因となっています。

一方、政府の政令により戦略的プロジェクトの法的枠組みは整備されたものの、主に初期登録に焦点が当てられており、プロジェクト全体のライフサイクルには十分対応していません。投資準備から運営まで全段階を網羅する明確なロードマップを策定することで、投資家は効果的な計画立案と一貫した監督が可能となります。

これにより不確実性が低減されるだけでなく、次世代工業団地に向けた安定的かつビジネスに適した投資環境を創出するというベトナムの姿勢を強化することにもつながります。

国内企業の視点から、CNCTechグループのグエン・フオン・ガー副社長は、特にハイテク、電子、精密工学分野の企業などの新世代FDI投資家は、国際基準のインフラ、現代的な物流、十分なビジネス支援サービスを含む包括的な製造エコシステムを求めていると強調しました。

また、技術統合能力やグリーン基準、ESG(環境・社会・ガバナンス)への対応も求められます。これは、ベトナムのような受け入れ国の工業団地インフラに大きな負担となり、総合的なインフラを備えたエコ工業団地の開発には多大なコスト、資源、時間が必要となります。

産業共生に基づくエコ工業団地の創出段階では、開発者への支援政策が不可欠だ。

グエン・フオン・ガー CNCTechグループ副社長

ガー氏は「産業共生に基づくエコ工業団地の創出段階では、開発者への支援政策が不可欠だ。また、ハイテク産業のバリューチェーン誘致政策も重要であり、ベトナムに投資するFDI企業が特に半導体分野で生産に適したエコシステムを利用できるようにする必要がある」と述べました。

財務省外国投資庁(FIA)傘下の北部投資促進支援センターのファム・タイン・ビン所長は、制度、インフラ、工業団地開発計画の全般的な改革が必要だといいます。

最優先事項は、投資制度と政策を透明性・安定性・予見可能性のあるものに改善することです。これと並行して、強力な行政改革、投資管理のデジタル化、認可手続きの簡素化が求められます。

インフラも迅速に整備する必要があり、特に物流、エネルギー、グリーンスマート工業団地インフラをグローバルサプライチェーンと統合することが重要です。これにより生産コストが削減されるだけでなく、多国籍企業が投資判断を下す際の主要な基準も満たすことができます。

もう一つの重要な要件は、質の高い人材の育成です。ハイテクFDIを誘致する工業団地には、技術系職業訓練や技術エンジニア、デジタルトランスフォーメーションや再生可能エネルギーの専門家まで、一体的な人材エコシステムが必要となります。

さらに、排出削減費用、グリーン製造基準、産業共生モデルに関する明確な規定も不可欠です。これらは、企業がクリーン技術に投資するための財政的インセンティブを生み出す重要な手段となります。

加えて、ベトナム企業の競争力強化には、国内企業とFDI企業の連携促進、裾野産業の発展、現地調達率の向上、中間財輸入依存の低減が求められます。これにより、FDIは単なる資本ではなく、国の産業を変革・高度化する原動力となります。

ビン所長は、「政策と投資環境改革が適切なスピードと方向性で進めば、ベトナムはグリーン技術とイノベーションを基盤とした地域の新たな製造拠点として台頭できるだろう」と述べました。

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