ノーベル賞受賞者 ベトナムで開催の国際量子物理学会議に出席

2012年ノーベル物理学賞受賞者のセルジュ・アロシュ教授をはじめとする世界各国の科学者らが、ベトナム中部ザーラーイ省で10月7日に始まった国際会議「量子物理学100年」に参加しています。

2012年ノーベル物理学賞受賞者のセルジュ・アロシュ教授が、ザーラーイ省で開催された国際会議「量子物理学100年」にて講演を行った。(写真:VNA配信)
2012年ノーベル物理学賞受賞者のセルジュ・アロシュ教授が、ザーラーイ省で開催された国際会議「量子物理学100年」にて講演を行った。(写真:VNA配信)

この会議は、量子科学の発展から100年という節目を祝い、2024年6月7日に国連が宣言した「国際量子科学技術年(IYQ)」を記念して開催されています。「Rencontres du Viet Nam(ベトナムとの出会い)」協会、国際学際科学教育センター(ICISE)、および国際組織委員会が共催しています。

会議では、量子光学の先駆的研究により2012年ノーベル物理学賞を受賞したセルジュ・アロシュ教授の功績を称えています。アロシュ教授は、2013年のICISE開設以来、同センターを訪問した19人目のノーベル賞受賞者です。

この会議には、14か国からの80人以上の科学者、教授、研究者のほか、数学、物理、化学、生物学を専門とする優秀な高校生60人が参加しており、活発な学術的な交流と国際的な協力を促進する場となっています。

参加者は、量子光学、量子通信・量子コンピューティング、凝縮系物理学および原子物理学、高精度分光・計測、冷却原子と物質シミュレーション、量子力学の理論と方法論、高エネルギー量子物理学、宇宙論、エネルギー生産へ応用するための量子技術など、幅広いテーマについて発表・議論を行っています。

若手科学者や大学院生には、自身の研究を発表し、世界の第一線で活躍する専門家から直接フィードバックを受ける機会が提供されています。ラウンドテーブル形式の討論では、自由な学術対話が促され、新たなアイデアの共有や今後の研究の方向性づくりが進められており、ベトナムと海外の研究機関との連携強化にもつながると期待されています。

ベトナム物理学会会長のグエン・クアン・リエム教授は、量子科学が20世紀初頭に古典物理学から大胆に飛躍して誕生したことを強調しました。アルベルト・アインシュタイン、ニールス・ボーア、ルイ・ド・ブロイ、ハイゼンベルク、ボルン、シュレーディンガー、ディラックといったノーベル賞を受賞した物理学者たちからの革命的な貢献に支えられ、量子科学は人類の自然観を根本から覆し、半導体から量子コンピュータに至る現代技術の基盤を築いてきたと述べました。

リエム教授は、この会議が国際協力の力と、量子科学が人類共通の利益に貢献する計り知れない可能性を持っていると述べました。

本会議に先立ち、若手研究者や大学院生を対象とした特別講義が行われ、基礎知識の強化とシニア科学者との交流も行われました。

会議で登壇したザーラーイ省人民委員会副委員長のラム・ハイ・ザン氏は、量子物理学や半導体分野での世界的専門家との連携強化を呼びかけました。また、同省がICISEの支援と先端研究・人材育成・技術移転拠点を整備し、持続可能な発展に貢献する質の高い人材の育成に取り組む姿勢を明らかにしました。

VNA
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