ベトナム首相 ASEAN首脳会議に合わせカンボジア、カナダ、ブラジルと首脳会談

ベトナムのファム・ミン・チン首相は10月26日、マレーシア・クアラルンプールで開催されている第47回ASEAN首脳会議および関連会合に合わせ、カンボジアのフン・マネット首相、カナダのマーク・カーニー首相、ブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領とそれぞれ個別会談を行いました。

ファム・ミン・チン首相はカンボジアのフン・マネット首相との会談で、カンボジアが近年、幅広い分野で大きな成果を収めていることに祝意を表しました。あわせて、今回の首脳会議に合わせて署名されたカンボジアとタイの和平協定を含む、両国関係の平和的な解決に向けた新たな進展を歓迎しました。

チン首相は、今回の和平協定が両国の国境地域の安定化に向けた基盤を築くものであり、今後、包括的な協力と連携の早期回復につながると強調しました。さらに、これによって信頼関係が強化され、長期的な平和の実現と、カンボジア、タイ両国、ひいては地域全体の人々に実質的な利益をもたらすことになると述べました。

両首脳は二国間関係について意見を交わし、「良き隣人関係、伝統的友好、包括的協力、長期的持続可能性」という方針のもと、政治的信頼の一層の強化と既存の協力メカニズムの推進を継続していくことで一致しました。さらに、経済協力の分野での飛躍的な進展を目指し、両国間の貿易額を早期に200億米ドルに引き上げることに貢献していく方針を確認しました。

両首脳はまた、実効性のある形で地方間の連携を強化し、特にホーチミン市ーモックバイーバヴェットープノンペン高速道路事業をはじめとする両国間の交通・物流インフラの連結を推進するとともに、国境ゲートや国境貿易関連インフラの整備を進めていくことで一致しました。さらに、「良き隣人関係、伝統的友好、包括的協力、長期的持続可能性」という方針の下、連帯と友好の精神で、国境画定および国境標識設置に関する未解決の課題について引き続き協議、解決を進めていくことを確認しました。

チン首相はまた、カンボジア側に対し、ベトナム企業が安定的に事業を展開し、カンボジアへの投資を拡大できるよう、引き続き支援と環境整備を行うよう求めました。

国際・地域情勢に関しては、両首相は共通の関心事項について意見交換を行いました。チン首相は、国連サイバー犯罪防止条約(ハノイ条約)の署名式にカンボジアが副首相を派遣し、同行事の成功に貢献したことに謝意を表しました。

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ファム・ミン・チン首相(左)とカナダのマーク・カーニー首相、10月26日クアラルンプールにて(写真:VNA)

チン首相はカナダのマーク・カーニー首相との会談で、インド太平洋戦略を通じて地域への関与を強化するというカナダの外交方針を歓迎しました。そのうえで、これにより今後、両国が実質的な協力関係をさらに発展させるための好機が生まれるとの期待を示しました。

チン首脳は、航空、エネルギー、原子力工学専門家の育成など、カナダが強みを持ちベトナムがニーズを有する分野で協力と支援を一層強化することへの期待を表明しました。とりわけ、ベトナム人留学生への奨学金の拡充を通じて、両国民の交流をさらに深めることに貢献してほしいと述べました。

また、カナダ政府に対し、カナダ在住ベトナム人コミュニティが安定して生活し、発展し、両国の良好な関係にさらに貢献できるよう、より良い環境を整えることを提案しました。

両首脳は、ハイレベルでの交流活動を継続的に強化・深化させることにより、政治的信頼をさらに高め、二国間関係を発展させていく必要があるとの認識で一致しました。

また、経済・貿易・投資協力をベトナムとカナダの関係の重要な柱とするため、両国経済の補完性を効果的に活かし、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)を活用することで、市場開放、投資促進、持続可能かつ互恵的なサプライチェーン連携を進める具体策についても協議しました。

カーニー首相は、1991年のベトナム訪問以来の個人的な思いを共有し、ベトナムの社会経済発展と国際的地位の向上に感銘を受けたと述べました。さらに、カナダにとってベトナムはインド太平洋地域における重要なパートナーであり、この地域への架け橋であり貿易の玄関口であると強調しました。

また、チン首相が提案した両国協力の具体的な方向性に賛同し、エネルギー、鉱業、航空技術などの分野でベトナムとの協力をさらに推進していきたいとの意向を示しました。

双方は、ASEANや国連など、地域および国際的な多国間の場において、より緊密に連携し、多国間主義と国際法の強化に積極的に貢献していくことで一致しました。カナダ側は、ASEAN・カナダ自由貿易協定交渉の早期妥結に向けてベトナムと協力したいとの意向を表明するとともに、2026年にベトナムがCPTPP理事会議長国を務める際も、引き続き積極的に協力していくことを確認しました。

この機会に、チン首相はカーニー首相に対し、両国の良好な協力関係を新たな段階へ引き上げるための具体的な方策について協議するため、早期のベトナム訪問を提案しました。カナダ首相はこの招待を快く受け入れました。

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ファム・ミン・チン首相(右)、ブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領と10月26日クアラルンプールで会談(写真:VNA)

ブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領との会談で、チン首相は、両国関係が戦略的パートナーシップへと格上げされて以来、著しく発展していることに喜びを表しました。

両首脳は、これまでに達成されたハイレベルの合意を効果的かつ実質的に履行していく方針を確認しました。これに基づき、双方は投資・貿易の一層の促進、双方の農産物市場の開放、ベトナムと南米南部共同市場(MERCOSUR)との間の特恵貿易協定(PTA)交渉の早期開始と妥結の推進で一致しました。また、両国の共通の強みを生かし、特にコーヒーの生産と輸出分野での協力強化を含む農業協力を推進していくことで合意しました。

ルーラ・ダ・シルバ大統領は、ベトナムとの関係を特に重視していると述べ、経済・貿易分野を中心にベトナムとブラジルの戦略的パートナーシップをさらに深化させていく強い意欲を表明しました。そのうえで、両国の潜在力に見合う形で、2030年までに二国間貿易額を150億米ドルに引き上げることを目指す考えを示しました。その一環として、ブラジルはベトナムの市場経済地位を正式に認めるための国内手続きを加速していると明らかにしました。

チン首相は、ルーラ大統領のベトナムに対する関心と特別な思いに感謝の意を表するとともに、ハノイで開催された国連サイバー犯罪防止条約(ハノイ条約)署名式に代表を派遣し、支持を示したブラジル政府に対し、謝意を述べました。

また、2025年のBRICS議長国としての成功を祝福し、ブラジルの国際的地位の高まりを高く評価しました。そのうえで、チン首相は、非同盟運動や南南協力におけるブラジルの主導的役割を支持するとともに、国連安全保障理事会の改革・拡大後における常任理事国入りへのブラジルの取り組みを支持する考えを表明しました。

両首脳は、不安定な国際情勢の中での課題克服に関する経験を共有し、開発途上国の役割と発言力を強化するために引き続き緊密に協議、連携していくことで一致しました。さらに、両地域および世界の平和、安定、協力、包摂的かつ持続可能な発展の推進に積極的に貢献していく方針を確認しました。

VNA
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