ファム・ミン・チン首相は演説の中で、アメリカの最近の顕著な成果についてトランプ大統領に祝意を表するとともに、対話の促進や国際紛争の平和的解決に向けた外交的努力を高く評価しました。また、本年のASEAN議長国であるマレーシアや他の加盟国と協力し、カンボジアとタイの共同宣言につながる対話を仲介したアメリカの役割を特に強調しました。
チン首相は、アメリカがASEANにとって最も包括的な戦略的パートナーの一つであり、アメリカがASEANとの関係強化に積極的に取り組んでいる姿勢を高く評価しました。
そのうえで、首相は今後の協力に向けた4つの重点分野を提案しました。第一に、経済・貿易・投資の連携を深化させ、均衡の取れた調和的で持続可能な貿易を実現すること。第二に、デジタルトランスフォーメーション、イノベーション、エネルギー安全保障に関する協力を強化し、特にエネルギーインフラの連結や平和目的の原子力協力を推進すること。第三に、サイバーセキュリティや国際犯罪対策を強化し、アメリカによるオンライン詐欺防止の取り組みや、ベトナムが主導する国際手配犯の追跡・逮捕の努力を基盤に協力を進めること。第四に、地域の平和・安全・安定の維持に向けた連携を一層高めることです。
チン首相は、ASEANとアメリカは、すべての国と国民の利益のために、東海を含む地域の平和・安定・発展を維持するという共通の利益と責任を共有していると述べました。
また、東海問題に関するASEANの原則的立場、すなわち1982年国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法に基づく紛争の平和的解決を改めて表明しました。
トランプ大統領は演説で、東南アジアがアメリカのインド太平洋戦略において極めて重要な位置を占めていることを強調し、アメリカが引き続き地域諸国の揺るぎないパートナーであり友人であり続けると述べました。
同大統領は、アメリカがASEANとの協力関係を、経済、貿易、エネルギー、技術、人工知能(AI)分野にとどまらず、地域全体の平和・安定・繁栄、さらには各国民と次世代の利益のためにも、より一層深めていきたいとの意向を示しました。
トランプ大統領はまた、アメリカがASEANの中心的役割および加盟国の正当な利益を尊重しつつ、共通の課題への対応においてASEANと協力し、支援する用意があることを表明しました。
首脳らは、ASEANとアメリカの関係が力強い発展軌道にあることを指摘しました。2024年の双方向貿易額は4,530億米ドルに達し、ASEAN全体の貿易額の11.8%を占めています。アメリカはASEANにとって第2の貿易相手国であり、最大の外国直接投資国です。また、2021~2025年行動計画の実施が、政治・安全保障、国際犯罪対策、海洋安全保障、貿易・投資、交通、農業、科学技術といった分野での協力を推進していると評価しました。さらに、アメリカは次世代貿易プラットフォーム「ASEANシングルウィンドウ(ASW 2.0)」を支援するとともに、今後も技術的支援を継続することを約束しています。
双方は、現在進行中のイニシアチブや協力プログラムを効果的に推進し、ASEANとアメリカの包括的戦略的パートナーシップをさらに深化させる意志を改めて示しました。特に、質の高い貿易・投資、金融、インフラ連結、デジタル経済、エネルギー、サイバーセキュリティといった戦略分野を重点的に進め、平和・安全・安定・繁栄の地域の構築を目指すとしています。
首脳会議は、「より強固で安全、かつ繁栄するASEANとアメリカの実現に向けたASEAN・アメリカ首脳共同ビジョン声明」の採択で締めくくられました。