このセミナーは、ボストン・グローバル・フォーラム(BGF)との共催で開催されたもので、AI時代におけるベトナムとテクノロジー先進国との協力を促進するための戦略的な一歩であり、同時に世界的なデジタルトランスフォーメーションにおけるベトナムの立場を示すものです。
デジタル経済の先駆者となることを目指すベトナムは、産業革命の発祥地であり、アイザック・ニュートン、ジョン・ロック、アダム・スミス、アラン・チューリング、ウィリアム・シェイクスピア、チャールズ・ディケンズといった偉大な知性を輩出したイギリスから学び、革新的で人間中心、かつ持続可能なテクノロジー・エコシステムの構築を目指しています。
開会の挨拶でトー・ラム書記長は、ロンドンで専門家や有識者の洞察に満ちた実践的な意見を聞く機会を得たことに喜びを表明しました。書記長は、世界が科学技術の著しい進歩を目の当たりにしており、AIが経済成長とイノベーションの主要な原動力となっていることを強調しました。
トー・ラム書記長は、ベトナムが科学技術とデジタルトランスフォーメーションを、急速かつ持続可能な発展を実現し、世界的な価値連鎖の中で地位を高めるための最重要な突破口として位置づけていると述べました。そのうえで、AIが人類に奉仕し、創造性や思いやり、平和、繁栄を促進するより良い世界を築くため、先進国と共通のビジョンと価値観を共有しながら協力していきたいと強調しました。また、ベトナムは先駆的なアイデアを積極的に受け入れ、実践していく用意があると表明しました。
セミナーでは、テクノロジー分野の専門家らがベトナムの躍動的な発展を高く評価しました。わずか一世代の間に、ベトナムは数百万人を貧困から救い出し、アジアで最も競争力のある製造業経済の一つを築き、デジタルスキルを備えた若い労働力を育成してきました。特に、行政改革の進展と国際協力への開かれた姿勢により、ベトナムは「信頼できるデジタル国家群」の中で重要なパートナーとしての地位を確立しています
また、AIが真に社会経済の発展や人々の生活向上に寄与するためには、政府が信頼性の高いデジタルインフラの整備や、プライバシー、公平性、透明性を守る責任あるAI基準の策定に注力すべきだとの提言もありました。セミナーの締めくくりにあたり、トー・ラム書記長は、AI分野で豊富な経験を持つ有識者や関係者による見識と提案に深い感銘を受けたと述べました。
ラム書記長は、会合で提示された提案や提言がベトナムの発展方針や目標に非常に合致していると強調し、関係当局がこれらを詳しく検討し、ベトナムで具体的なプロジェクトや計画として実現するために協力していく考えを示しました。
 トー・ラム書記長は、今回のセミナーは意義深い出発点であり、ベトナムとイギリス、さらには世界の第一線の有識者や研究機関との間で、長期的かつ実質的な協力関係を築くための道を開くものだと強調しました。
ラム書記長は、有識者らが今後も引き続き、AIや科学技術分野の発展に向けたベトナムの取り組みに寄り添い、支援していくことへの期待を表明しました。協力の重点分野として、国家AI戦略の策定やデジタルインフラ・イノベーションエコシステムの構築における知見と経験の共有、医療・スマート農業・デジタル教育といった重点分野での投資促進・技術移転・AI応用の推進、そして新興かつ先端分野を中心とする主要な科学技術プログラムの共同実施、の三つを挙げました。これらを通じて、創造的で自立した経済の構築を後押ししていく考えです。
書記長はまた、科学、技術およびAI分野の豊富な経験を持つ有識者や科学者に対し、ベトナムを訪問し、現地の政策立案者や研究機関との交流や直接的な協力を行うよう呼びかけました。こうした取り組みを通じて、円卓会議で交わされた構想が現実のものとなり、AI時代における人類に新たな価値、モデル、そして自信をもたらすことが期待されます。