第17回東海会議が閉幕

第17回東海国際会議は11月4日、中部の都市ダナンで2日間にわたる議論を経て閉幕しました。会議では、ASEANの役割や、1982年国連海洋法条約(UNCLOS)の重要性に焦点が当てられました。

会議に出席した代表者たち(写真:VNA)
会議に出席した代表者たち(写真:VNA)

今回の会議では、大使対話セッションと若手リーダーセッションの2つの特別セッションも行われ、地域情勢に関する多様な視点が示されるとともに、東海における平和の確保とルールに基づく秩序の維持に向けた新たなアプローチが模索されました。

基調演説で、オーストラリアの移民担当補佐大臣兼外務・貿易担当補佐大臣のマット・ティスルウェイト氏は、国連海洋法条約(UNCLOS)が平和と安定、国際紛争の平和的解決を維持する上で極めて重要な役割を果たしていることを強調しました。同氏は、国際海洋法の遵守が経済的安全保障と共通の繁栄に不可欠であると指摘し、複雑化する国際秩序の中で、オーストラリアが世界的なルールと制度の維持に引き続き取り組む姿勢を改めて表明しました。

大使対話セッションでは、EU、カナダ、ドイツ、日本、ベトナムの代表が東海の戦略的重要性を強調し、同地域の平和と安定の維持は国際社会全体の共通責任であるとの認識で一致しました。

参加者は、国際法、特にUNCLOSが海洋問題解決の基盤であり、唯一実行可能な道筋であることを強調しました。域外国のパートナーには、航行の自由の確保、多国間外交の強化、持続可能なブルーエコノミーに関する国際協力の推進など、具体的な行動を通じて約束を実行するよう呼びかけました。

また、東海をめぐる地域的な議論の形成においてASEANが中心的な役割を果たしていることを認めつつ、大国間競争の激化により、同機構がかつてない課題に直面していると指摘しました。さらに、内部の意見の相違や外部からの圧力が、安全保障上の重要課題に関するASEANの合意形成を妨げる場面もあると述べました。

一部の代表は、友好協力条約(TAC)に基づく紛争解決メカニズムは依然として象徴的な側面が強いと指摘しました。また、2002年に採択された東海における関係国の行動宣言(DOC)についても、実効的な執行力や監視体制が欠如している点を指摘しました。さらに、東海における行動規範(COC)の策定交渉は、その法的性格や適用範囲をめぐって関係国の見解が分かれており、進展が難航していると分析しました。

UNCLOSについては、多くの専門家が「海の憲法」としての地位を再確認し、すべての海洋活動の包括的な法的枠組みを形成し、気候変動や海面上昇といった新たな課題への対応基盤となっていると述べました。

一方で、一部の当事者が一方的な主張を正当化するためにUNCLOSの条文を恣意的に解釈、または誤用しようとする動きがみられると警告しました。また、急速な技術革新や自然環境の変化により、新たな法的課題が生じつつあるとも指摘しました。

学者らは、平和と海洋秩序を強化するためのさまざまな方策を提案し、ASEANに対しては内部の結束強化、集団的能力の向上、域外パートナーや多国間メカニズムとの協力拡大を呼びかけました。

また、信頼醸成や紛争防止のための早期警戒システムの構築に向け、透明性の向上、対話の促進、情報共有の強化を提案しました。

閉会式で、ベトナム外交学院のグエン・フン・ソン院長は、今回の意見交換を通じて、地域情勢や主要関係国の役割、そして海洋自動化や人工知能(AI)といった新たな技術が海洋安全保障に及ぼす影響がより明確になったと述べました。

ソン氏は、世界的にも地域的にも不確実性が高まる中、各国が引き続き対話や情報交換、能力向上を進め、団結と連帯を強化していく必要があると強調しました。

また、この会議はASEANの中心的役割を強化し、地域の平和、安定、持続可能な発展の礎であるUNCLOSの効果的な実施のための貴重な提言を生み出したと述べました。

VNA
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