駐ベトナム・ユネスコ代表 "ベトナムは今後も対話・平和・創造性の発信地であり続ける"

駐ベトナム・ユネスコ代表のジョナサン・ウォレス・ベイカー氏は、ベトナムが第43回ユネスコ総会の副議長に選出されたことについて、同国が「グローバルサウスと国際社会をつなぐ架け橋」としてのイメージを一段と強めていると述べています。

駐ベトナム・ユネスコ代表 ジョナサン・ウォレス・ベイカー氏(写真:VNA)
駐ベトナム・ユネスコ代表 ジョナサン・ウォレス・ベイカー氏(写真:VNA)

ベイカー氏はベトナム通信社(VNA)のインタビューで、ベトナムが今後も対話、平和、創造性を促す声としての役割を果たし続けると確信していると述べました。

以下はインタビューの全文です。

Q: ユネスコが持続可能な開発に向けて大規模な改革を進めているこの時期に、ベトナムが第43回ユネスコ総会の副議長に再選した意義をどのように評価しますか。

A: ベトナムが第43回ユネスコ総会の副議長に再選されたことは、同国の建設的な外交姿勢と合意形成への取り組みに対するユネスコ加盟国からの強い信頼の表れです。

2期連続でこの役割を託されたことは、ベトナムが多国間協力のパートナーとしての評価と信頼を高めていることを如実に示しています。これは、同国の目覚ましい発展成果と、ユネスコをはじめとする国際的な場への積極的かつ実質的な参画が国際的に認められている証です。

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ニンビン省のチャンアン複合景観。2014年にユネスコの世界文化・自然遺産に認定された。(写真:VNA)

現在、ユネスコが教育、文化、科学、コミュニケーションの各分野で世界的なリードを固めている、重要な時期でもあります。ベトナムは、教育・科学・文化・持続可能な開発を結びつける優れた実践を通じて、これらの取り組みに独自の貢献ができ、世界的な優先課題をベトナム国内および他国で現実の成果へとつなげる役割を果たすことが期待されています。

ベトナムの選出は、グローバル・サウスと国際社会全体をつなぐ架け橋としてのイメージをさらに強化するものです。

Q: 近年、特に教育、科学、文化分野において、ベトナムはユネスコの活動にどのような役割と貢献を示してきたと考えていますか。

A: ベトナムはユネスコの一員として非常に積極的かつ責任ある加盟国であり、ユネスコの全分野で具体的な貢献を果たしています。

教育分野では、エデュケーション2030アジェンダに沿った大胆な改革と長期的なビジョンを通じ、顕著なリーダーシップを発揮しています。決議第71号(NQ/TW)は、2030年までに就学前と中等教育の普及を達成し、2045年までに世界水準の大学を育成するという高い目標を掲げ、教育への公的支出を国家予算の20%に据えています。新たな教員法や、「ハッピー・スクール」フレームワーク、学習都市グローバルネットワークなど、学習者中心のアプローチは、包摂性の向上、教員のエンパワーメント、生涯学習の推進に向けたベトナムの取り組み姿勢を示しています。

科学分野では、ユネスコの主要プログラムへの積極的な参加を通じて強いリーダーシップを示しています。同国には現在11の生物圏保護区と4つの世界ジオパークがあり、数学と物理のカテゴリー2センターを擁する地域の拠点としても機能しています。2024年にカオバン省で開催された第8回アジア太平洋ジオパークネットワーク・シンポジウムや、2025年の政府間水文計画地域運営委員会第32回会合など、近年の開催実績は、地域協力の推進に向けたベトナムの積極的な役割を裏付けています。2023年の進歩的な水資源法や、国家科学技術・イノベーションアジェンダも、科学と政策を持続可能な発展のために活用する姿勢を示しています。

直近では、ベトナムはユネスコの「 AI倫理に関する勧告」に基づき、AIエコシステムの包括的評価となるAIレディネス・アセスメントを開始しました。これは、倫理的で人間中心かつ包摂的なAIガバナンス推進の重要な節目となっています。

文化分野において、ベトナムとユネスコの協力は、文化行政と創造性で他のモデルとなるものです。同国は現在、9件の世界遺産と16件の無形文化遺産、さらにハノイ、ホイアン、ダラット、ホーチミン市の4つの創造都市を有しています。また、遺産保護を国家法制に組み込み、チャンアン複合景観などの指定を活用して、地域社会主体の持続可能な観光の促進にも取り組んでいます。

Q: 今後、総会副議長として、また平和、包摂、創造性というユネスコの核心的価値を推進する積極的なパートナーとして、ユネスコはベトナムにどのような役割を期待していますか。

A: 総会副議長としてのベトナムは、多国間協力が世界的に試練に直面している中で、ユネスコの行動課題を方向づける上で重要な役割を果たす立場にあります。

ベトナムがこれまで培ってきた「架け橋」としての役割を引き続き担ってもらえることを期待しています。すなわち、先進国と途上国の間で、地域や視点、優先課題をつなぎ、国際的な意思決定を包摂的なものとし、持続可能な開発目標の実施において、どの国も取り残されないようにする役割です。

同時に、ベトナムは教育改革、文化保全、科学主導のイノベーションにおける実践的経験を共有することで、ユネスコの今後の方向性形成にも貢献できます。こうした国内での成果は、人々や地域社会にとって政策を具体的な進展へとつなげるための貴重な示唆を提供するものです。

ベトナムが今後も対話、平和、創造性を促す声として活躍し続けると確信しています。

Q: ユネスコがベトナムの提案した「持続可能な開発のための文化の国際10年」創設に関する決議案を採択した意義をどのように評価しますか。

A: ユネスコは、第43回総会でベトナムが提案した「持続可能な開発のための文化の国際10年」に関する決議案の採択を高く評価しています。このイニシアティブは加盟国から強い支持を受けており、文化を開発政策にさらに統合するというユネスコの戦略的方向性とも密接に一致しています。

この決議案は、地球規模の課題に向き合う上で文化が果たす重要な役割を強調し、認識の向上、政治的意思の強化、資源の動員、文化・創造産業への投資促進につながるものです。また、この採択は、近年のベトナムの積極的で責任ある、そして実質的なユネスコへの貢献が国際社会に認められたことを示しています。

ハノイのユネスコ事務所は今後も、文化を持続可能な開発の柱として強化するため、ベトナムと緊密に連携していきます。

ご協力ありがとうございました。

VNA
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