アルジェリア滞在中に、中部各省で発生した豪雨や洪水など自然災害への対応について、各省庁や地方行政機関の代表者と緊急オンライン会議を主宰した首相は、特に冠水や孤立が発生している地域について状況を点検・評価し、迅速な支援につなげるよう地方当局に求めました。
会議での報告内容によりますと、ラムドン、カインホア、ザーライ、ダクラク各省では11月16日未明から猛烈な降雨が発生し、一部地域では降水量が1,700ミリを超えました。ダクラク省のバ川とキーロー川、カインホア省のディンニンホア川では水位が一時、過去の最高記録を0.2〜1.1メートル上回りましたが、現在は低くなりつつあるとのことです。
首相は、洪水や冠水、土砂崩れによる被害への対応に関して、公式通達を5件発出しました。首相および副首相らは、関係地方行政機関の幹部と定期的に連絡を取り合い状況を把握して、対応指示を続けています。
首相は、自然災害による被害への対応のため、カインホア省に緊急支援金として500億ドン(約190万ドル)の拠出を承認しました。
これまでに41人の死亡が確認され、9人が行方不明となっています。167戸の住宅が損壊し、51,138戸が浸水被害を受けました。農業分野では、13,026ヘクタールの稲作・作物・野菜が被害を受け、2,183ヘクタールの多年生・一年生植物が影響を受け、家畜・家禽30,731頭が死亡・流失しました。
交通面では、国道上の30か所が依然として局地的に冠水し、交通障害が発生しています。省道や社(コミューン)間道路の多くも深刻な浸水や土砂崩れの影響を受け、通行止めとなっています。
会議の中で国防省は、孤立地域へ到達するため、11月21日にヘリコプター4機を派遣したと報告しました。
ダクラク省人民委員会主席のタ・アイン・トゥアン氏は、20日夜の時点で多くの地域が1メートル以上冠水し、3つの社(コミューン)で126世帯が孤立していると述べました。また、現地当局は、浸水地域への食料搬送に尽力していると報告しました。
カインホア省人民委員会主席のチャン・タン氏は、依然として3つの居住区域にアクセスできない状態で、洪水と停電の影響で、一部の放送拠点では通信に支障が生じていると報告しました。また、省内の豪雨・洪水による暫定的な被害額は約1兆ドンと見積もられており、住民向けの食料や物資は十分に確保されていると述べました。
ザーライ省も、被害額は約1兆ドンに上ると報告しました。
常任副首相のグエン・ホア・ビン氏は、ダクラク省とカインホア省ではこれまでにない規模の洪水が発生したと述べました。そして、この状況に対応するため、警察・軍隊合わせて最大4万人の人員が救援・対応活動に動員されていると報告しました。
11月19日夜には300か所が洪水で孤立しましたが、翌20日朝には警察がほとんど全ての地点に到達し、昨夜以降、当局は孤立・危険地域から数万人を避難させているということです。
常任副首相は、依然として一部の孤立地域には緊急部隊が到達できていないと述べました。また、最優先課題は住民の救出と必需品の供給であると強調し、残る孤立地域への到達準備も、関係機関と地方当局によって慎重に進められているとのことです。
また、被災者へのコメや現金、生活必需品の支援など、洪水後の復旧支援策についても協議が行われました。
常任副首相は、今後11月23日にかけて降雨は徐々に減少し、洪水も速やかにおさまる見込みであると述べました。
カインホア省からの報告で、ホー・クオック・ズン副首相は、この2日間、各部隊が総力を挙げて対応してきたものの、一部地域では流れが非常に速く、接近が不可能な状況が続いていると述べました。最も深刻なのはダクラク省フーホア2で、126世帯が依然として孤立しているほか、カインホア省でも300世帯以上にまだ到達できておらず、軍は、21日早朝にもこれらの地域へ進入し、住民の避難を進める方針だということです。
また副首相によりますと、地元当局は、住民を移送する際には最も高く安全にアクセスできる地点を選ぶよう指示しており、必要に応じて軍の施設も避難者の受け入れに活用する方針です。
食料や物資については、地元当局が積極的に対応を進めており、第5軍管区には冠水地域向けの乾パンや飲料水の準備が指示されています。21日早朝には、孤立地域に対してヘリコプターによる物資投下も行われる予定です。
副首相は、ほとんどの財産が流失していることから、最も緊急なのは洪水後の復旧であると強調し、特に環境衛生の確保、住民の健康管理、被災者への必需物資の供給に重点的に取り組むよう地方当局に求めました。
財務省のグエン・ドゥック・タム副大臣は、首相および副首相の指示に従い、被災した地方行政機関への支援を実施したと述べました。具体的には、カインホア省に米2,000トンと500億ドン、ダクラク省に米3,759トンと2,300億ドン、ザライ省に米2,000トンと3,300億ドンが配分されたということです。
報告を受けたチン首相は、副首相ら、国家民間防衛指導委員会、各省庁、地方行政機関が中部各省の洪水防止・対応・被害軽減に緊密に連携したことを高く評価しました。特にダクラク、カインホア、ラムドン、ザーライ各省の努力を称賛しました。
首相は、亡くなった方や行方不明者、負傷者の家族に哀悼と見舞いの意を表し、関係部隊および地方当局に対し、死亡者の葬儀支援、行方不明者の捜索、負傷者の治療を速やかに行うよう指示しました。
また、被災住民の住宅復旧のための部隊動員、仮設住宅の確保、避難世帯を宿泊場所のない状態に置かないこと、学校の修復による子どもの早期登校再開、医療施設の修復による医療サービスの継続、衛生・環境対策による感染症予防、住民・企業向けの電力・通信の復旧、被害状況の再評価と生産・生計の回復を含む支援計画の策定を指示しました。
首相は、全国民、全国の武装部隊、在外ベトナム人に対し、中部地域の人々への包括的かつ最大限の支援を継続するよう呼びかけました。
また、ベトナム国家銀行に対し、被災住民・企業向けの金融支援政策の検討を指示。財務省には、緊急支援のため直ちに米を各省に配給するよう命じました。保健省には、感染症予防・対策のための医薬品剤の供給を指示しました。
首相は、災害復旧資金の手続きについては、 20日夜のうちに完了させるよう求め、ラムドン省とカインホア省に各2,000億ドン、ダクラク省とザライ省に各約1,500億ドンを、洪水対策と復旧に充てるため配分する方針を示しました。
国防省と公安省には、人員や機材を動員してインフラ復旧を進めるとともに、浸水・孤立地域への生活必需品の搬送を行うよう指示が出されました。報道機関には、洪水の状況や被害、復旧の取り組みを的確かつ迅速に伝えるとともに、防災に関する知識の周知を強化するよう求めました。
農業環境省と商工省には、住民の安全確保と洪水調節の両立を図りつつ、各貯水池の安全かつ適切な運用状況を点検するよう指示が出されました。建設省と公安省には、寸断された交通路の復旧と、危険区域への通行を防ぐための交通誘導を行うよう求められました。科学技術省および通信・電力関連企業には、停電や通信障害の迅速な復旧に向けて資源を総動員するよう指示されました。
首相は、中央民間防衛指導委員会事務局に対し、状況を注視し、適時に報告と防災・復旧策の提案を行うよう求めました。また、副首相のレ・タン・ロン氏をザライ省、ホー・ドゥク・フォック氏をダクラク省、ホー・クオック・ズン氏をラムドン省に21日朝派遣し、現地で救命最優先の対応を直接指揮するよう指示しました。