首相は、G20サミット出席のため滞在中の南アフリカからオンラインで主宰した緊急会議の中で、こうした指示を出しました。会議では、中部地方の複数の省で発生している洪水・自然災害の状況や緊急対応策について、各省庁・機関、地方指導者と協議しました。
この会議は南アフリカと政府本部、カインホア省、ザーライ省、ダクラク省、ラムドン省、タイニン省、及び第5軍管区民間防衛司令部を結んで実施されました。
ホー・ドゥック・フォック副首相、ブイ・タイン・ソン副首相、グエン・チ・ズン副首相、ホー・クオック・ズン副首相、マイ・ヴァン・チン副首相のほか、各省大臣、省庁レベル機関の長、政府直属機関の指導者、各省庁・部門・機関の代表者、国家民間防衛指導委員会のメンバー、各省の指導者らが会議に出席しました。
各地の孤立地域を中心とした支援・救援の必要性、交通路の状況、電力・通信システム、学校や医療施設の被害状況、地方への資金や食料支援の配分などに関する報告を聴取し、意見交換を行った後、チン首相は、政治局、党中央書記局、トー・ラム書記長、政府および首相の指示を厳格かつ効果的に実施するよう省庁・地方行政機関に求めました。特に、孤立地域へのアクセス確保を最優先事項とするよう強調しました。
チン首相は、副首相らに対し、状況を引き続き緊密に監視し、それぞれの権限に基づいて担当地域の洪水被害からの復旧を指揮するよう指示しました。権限を超える問題については、政府および首相に速やかに報告し、対処策を求めるよう求めました。
地方行政機関には、各社(コミューン)や区の被害が特に大きい地域に指導者を配置し、現場の状況を直接把握し、復旧作業を指揮することを指示しました。中央の方針、地域の実情、住民の状況を緊密にフォローする姿勢で、迅速に情勢を安定させ、住民生活や生産・事業活動の立て直しを図ることが求められています。
チン首相は、世界保健機関(WHO)事務局長との会談の中で、洪水被害の克服に向けた支援を要請し、事務局長から支援の意思が示されたことに言及しました。その上で保健省に対し、外務省と連携して速やかにWHOへ必要な緊急支援を正式に要請するよう指示しました。
首相は、関係機関に対し、11月23日10時までに手続きを完了し、ダクラク省に5,000億ドン、ザーライ省に1,500億ドン、カインホア省に1,500億ドン、ラムドン省に3,000億ドンの追加財政支援を行い、ダクラク省に2,000トン、ザーライ省に1,000トン、ラムドン省に1,000トンの米を供給するよう求めました。
チン首相は、教育訓練省および地方に対し、教育施設の被害状況を早急に点検し、修繕を提案するほか、生徒が学校に通えるよう教材・教科書の確保を進めるよう求めました。保健省には、地方当局と連携して被害復旧を進め、11月30日までに住民への医療診療活動を実施すること、地元の人員を最大限動員して環境清掃や感染症予防を実施し、住民の生活を安定させるとともに、安全・治安の確保に万全を期すよう指示しました。
チン首相は、「人命最優先」を強調し、地方行政機関に対し、死亡・行方不明・負傷者の家族への迅速な支援、生産・事業活動の復旧、住民や企業への保険金支払い、苗の提供を通じた生産再開の支援を指示しました。また、地域が孤立しないよう状況把握を徹底し、食料・生活必需品・衣類を速やかに供給して住民が不足に陥らないよう求めました。さらに、物資・機材の輸送を円滑にするため、輸送事業者への協力要請も行うよう促しました。
チン首相は、省庁・部門・地方の指導者に対し、不要不急の行事への参加を控え、自然災害の被害克服に向けた地方支援に全力を注ぐよう改めて求めました。同時に、緊急事態に応じた対応を徹底するよう指示しました。首相は、ダムを安全に管理・運用するための監視強化、交通網全体の早期復旧、生活・生産・事業活動向けの電力供給の回復、通信や情報システムの復旧による利用者の遮断防止を求めました。また、住民と企業の生産・事業再開を後押しするための融資パッケージの実施、洪水で甚大な被害を受けた住民・企業に対する債務の猶予・延期・凍結措置の導入も指示しました。さらに、生活必需品の供給確保と価格管理を徹底し、品薄や買い占め、価格高騰が発生しないよう対応することを求めました。
首相は、関係機関に対し、被害状況を取りまとめ、影響を補うための解決策を検討し、2025年の成長目標の達成を確保するよう求めました。また、報道機関に対しては、地方の状況を的確に取材し、党と国家の指導・対応を重点的に伝えるとともに、洪水・暴風雨への備え、対応、被害克服に関する指針や注意喚起を積極的に発信するよう指示しました。
首相は、各省庁に対して自然災害からの復旧を支援する役割を明確に割り当てる一方、政治局から支援を任された省・市は、被災省との協力を強化し、救援物資の点検・受領・配分を適切かつ効率的に行い、浪費を防ぐよう求めました。さらに、ベトナム祖国戦線に対し、国内外の幹部、軍人、同胞に呼びかけ、被災地の住民への引き続きの支援と連帯を促すよう要請しました。
チャン・ドゥック・タン農業・環境相は報告の中で、11月16日以降、ザーライ省、ダクラク省、カインホア省、ラムドン省で大規模な洪水が発生し、このうちダクラク省とカインホア省では観測史上最も高い水位となったと述べました。11月21日以降は降雨が減少し、河川水位も警戒レベル1まで低下しているということです。現在も、ダクラク省ではホアスアン、ドンホア、ホアティン、ホアミーの4社(コミューン)・区で浸水が続いているほか、カインホア省ではジエンディエン、ホアチーの2社(コミューン)で87世帯、ラムドン省ではナムダ、カットティエンの2社(コミューン)の127世帯で浸水被害が続いているとのことです。予報によりますと、豪雨地域はフエからクアンガイへ移動し、11月25日頃には雨量が減少する見通しです。
洪水による被害は極めて深刻で、死者・行方不明者は102人、1,154棟の住宅が倒壊し、最大18万6,000棟が浸水しました。また、水田や農作物は8万ヘクタール以上が被害を受け、家畜・家禽は320万頭以上が死亡・流失しました。国道の24か所で土砂崩れや道路寸断が発生し、ダクラク省とカインホア省を通る鉄道は一時運休しています。また、交通、灌漑、教育、医療など多くのインフラ施設も損壊しています。
被害の初期集計によりますと、損失額は9兆350億ドン(3億4,285万ドル)と推計されています。内訳は、クアンガイ省が6500億ドン、ザーライ省が1兆ドン、ダクラク省が5兆3300億ドン、カインホア省が1兆ドン、ラムドン省が1兆550億ドンとなっています。
党、政府、首相および各省庁・地方行政機関は、引き続き洪水への対応と被害克服に全力を挙げています。
2025年11月21日、政治局は中部地域の洪水被害克服に関する指導を盛り込んだ通知第99-TB/TW号を発出しました。
11月22日、政治局の指示に基づき、党・国家・政府指導者による4つの作業部隊が現地を直接訪問しました。政治局メンバーでは、党中央委員会書記局常務チャン・カム・トゥ氏がカインホア省、常任副首相グエン・ホア・ビン氏がダクラク省、国防大臣ファン・ヴァン・ザン氏がザーライ省、ベトナム祖国戦線中央委員会主席ブイ・ティ・ミン・ホアイ氏がラムドン省を訪れました。
11月21日、副首相はカインホア、ラムドン、ザーライ、ダクラクの4省に対し、緊急支援金7,000億ドン(カインホア2,000億ドン、ラムドン2,000億ドン、ザーライ1,500億ドン、ダクラク1,500億ドン)の支給を決定しました。
11月22日までに、国防省は、将兵44,668人と車両2,231台を動員し、衣類や浄水器、インスタント麺3,000箱を含む86.5トンの物資を輸送・配布しました。また、浸水地域の住民への物資投下のため、ヘリコプター3機も投入しました。
公安部隊は、基層での治安・秩序維持のため12万1,548人の将兵を動員し、洪水対応、救助活動、被害克服のために5万2,925台の車両・装備を投入しました。