制度の整備と能力向上でグリーン製造を推進
グリーンバリューチェーンの構築は、農業の近代化・効率化・持続可能性への転換において不可避の潮流となっています。グリーンバリューチェーンは、排出削減や環境保護に寄与するだけでなく、農産物の付加価値向上、国産ブランドの構築、そして品質基準がますます高まる国際市場におけるベトナム産品の競争力強化の基盤ともなるものです。
農業・環境雑誌編集長のダオ・スアン・フン博士は、この取り組みにおいて地域間連携が特に重要な役割を果たすと強調しました。集中的かつ一体的な原材料供給地の形成は、高度な加工の促進、物流の最適化、収穫後損失の削減につながり、実質的に低排出型農業生産に貢献するとしています。また、生産工程やトレーサビリティシステムの標準化は、持続可能な製品を重視する要求の厳しい市場への参入機会を拡大すると述べました。
これらの目標を実現するためには、国家、企業、研究者、協同組合、農業者が緊密に連携し、技術移転の促進や地域連携の仕組みの改善、イノベーションの後押しが不可欠だとフン氏は強調しています。
同様の見解を示す農業・環境戦略政策研究所所長のチャン・コン・タン博士は、グリーンバリューチェーンは生産、収穫、加工、輸送、流通、消費、廃棄物処理まで全過程を網羅し、環境負荷の低減、資源の節約、低排出を目指すとともに、農家の持続可能な生計を確保する方向で進められるべきだと述べました。
タン所長は改めて、2050年のネットゼロ目標、グリーン成長戦略、2050年ビジョンを見据えた2030年までの持続可能な農業・農村開発戦略、循環経済の推進、100万ヘクタールの高品質・低排出稲作プロジェクトなどは、いずれもグリーン生産の実現に向けた国家的な取り組みであると強調しました。
しかし、タン所長は、連携が小規模にとどまっていること、農家・企業・協同組合の参加が限定的であること、多くの連携モデルが持続性に欠け、パートナーが毎年変わること、契約に拘束力がないことなどの課題を指摘し、これらがグリーンバリューチェーンの潜在力発揮を妨げる大きな障壁となっていると述べました。
水文学・気象科学・気候変動研究所所長のファム・ティ・タイン・ガー准教授は、気候変動の影響がますます強まり、地域全体に広がっている現状を指摘し、地方行政機関が共通データと流域生態系に基づく連携計画を強化する必要性を訴えました。地域連携は、土地・水・気候資源の最適化、大規模原材料供給地の形成、グリーンサプライチェーンの強化、ベトナム農産物の競争力向上に寄与すると述べています。
また、地域連携は、干ばつ、塩害、洪水などのハザードマップや気候リスクマップを、社会経済開発の意思決定に統合することで、気候リスクを主体的に管理する基盤にもなると強調しました。これは、食料安全保障の維持、持続可能な発展の確保、国際社会に対する気候変動対策の約束の履行に向けても重要な要件だとしています。
ベトナム協同組合連盟の代表者は、グリーン協同組合を支援するための一連の方策を提案しました。とりわけ、協同組合法(2023年)を具体的に運用するための法的枠組みを早急に整備し、8つの支援政策の全てが実際に実施されるようにする必要があるとしています。加えて、協同組合のリーダーを対象に、企業経営、契約交渉、マーケティング、財務管理に関する研修を強化するとともに、農業者に対しては、技術知識や先進的な栽培技術、協同組合経済思考を高める取り組みが求められると述べています。
また、マクロレベルでは、短期的な支援から、協同組合の持続可能なエコシステム構築を目指した長期的かつ条件付きの投資へと政策の重点を転換する必要があると指摘しました。
農業・環境省のフン・ドゥック・ティエン副大臣は、農家に対し国際競争や市場の高まる基準への認識向上の必要性を強調しました。省としては、地域連携戦略を推進し、農家・企業・研究者・地方行政機関を中心とした包括的な協力モデルを構築する方針を示しました。同時に、トレーサビリティ、食品安全、国際規格の認証、技術移転にも重点的に取り組むとしています。
副大臣はまた、グリーンバリューチェーンの発展は農業分野だけでなく社会全体の責任であり、すべての関係者が参加してこそ、農業生産エコシステムが持続可能な価値へと根本的に転換できると述べました。
グリーン農業発展の二つの柱
グリーン生産チェーン推進のため、チャン・コン・タン所長は、グリーン生産工程を熟知し、トレーサビリティや国際認証要件を満たすプロフェッショナルな農家の育成が不可欠だと指摘しました。協同組合を中核とし、専門的な農家グループが企業と連携することで、市場開拓を後押しし、付加価値の向上やリスク低減につなげ、農村地域の生活水準の改善にも寄与するとしています。
ベトナム農業工学・収穫後技術研究所のファム・アイン・トゥアン准教授は、現在、農産物加工分野では日本に匹敵する超高速液体冷凍技術など先進技術が多数存在し、水産分野での応用から畜産品への拡大も進んでいるが、発展の余地は依然大きいと述べました。
トゥアン准教授は、自然条件を生かした生産地域の計画、地域特産と連動した原材料供給地の開発、生産地・加工・消費をバリューチェーンで結び、製品の重複や域内競争を回避すること、グリーン物流インフラや包装センターの一体的整備を提案しました。
生産体制の面では、農業者と企業をつなぐ仲介役として、新しいタイプの協同組合を育成し、品質管理や集荷の機能を担わせる必要があり、企業が製品の買い取りや技術移転、スマート契約の導入を通じて、バリューチェーンを主導することを後押しすることも重要だと述べました。
また、VietGAP、GlobalGAP、有機生産などグリーン基準の適用、自動灌漑システムや環境センサー、電子農場日誌、QR/ブロックチェーンによるトレーサビリティなど、機械化・デジタル化の推進が重要だと強調しました。さらに、フリーズドライや精油抽出など先端加工技術の開発、地理的表示による地域ブランドと品質の標準化、企業の国際見本市や越境ECへの参加支援も必要だと述べました。
国家管理の観点からは、生産・消費における地域調整の役割強化、農家と市場をつなぐ国家農業データシステムの構築、グリーンクレジット政策や技術革新支援、農業保険の整備が求められると提言しました。