ベトナム北中部地方 IUU漁業の「イエローカード」解除に向けて連携

ベトナムの水産業に対する欧州委員会(EC)の「イエローカード」警告を早急に解除する必要性が高まる中、ゲアン省、タインホア省、ハティン省では、広報の工夫から管理・監視の徹底、違反への厳格な対処に至るまで、強力かつ包括的な対策を同時に進めています。

ゲアン省の取締当局が、違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策に関する情報を漁業者に周知する啓発活動を行っている。
ゲアン省の取締当局が、違法・無報告・無規制(IUU)漁業対策に関する情報を漁業者に周知する啓発活動を行っている。

すべての取り組みは、「IUU漁業対策は政治体制全体およびすべての漁業者の責任である」という精神のもとで実施されており、2025年中の「イエローカード」解除に貢献するという全国共通の目標が掲げられています。

漁業者に法律をより身近なものに

漁業者の行動変容には広報活動が「鍵」になるとの認識から、ゲアン省の国境警備隊と水産部門は、近年さまざまな創意工夫を凝らした広報モデルを導入しています。その中でも、演劇形式の広報活動は特に注目される取り組みの一つとなっています。

ゲアン省クインフー社(コミューン)では、「持続可能な漁業のために」というプログラムの一環として、寸劇「にぎわう漁村」が上演され、船主、船長、漁業者、水産業者など700人以上が参加しました。

漁業者の日常生活をリアルに描いたストーリーを通じて、観客は外国海域侵入違反の影響や、漁獲日誌の適切な記録、漁船監視システム(VMS)機器の維持管理の重要性について、より明確に理解することができました。公演の合間には、漁業者と取締当局による双方向の質疑応答も行われ、法令周知がより生き生きと、分かりやすい形で進められました。

漁業者のグエン・フー・クオンさんは「寸劇の場面は私たちの生活そのもので、とても分かりやすく、記憶に残りやすい。海に出るときは、皆が外国海域を侵さず、禁止機器を使わないという意識が高まった」と語りました。

ゲアン省国境警備隊のチャン・ダン・コア副政治委員は「演劇形式の広報は革新的かつ効果的なアプローチであり、漁業者が法をより身近に感じるとともに、愛国心や海洋主権保護の意識を高めるのに役立っている」と述べました。

こうした取り組みの成果を踏まえ、ゲアン省はこのモデルを沿岸部の11の区やコミューンへと拡大し、漁業者が国境警備隊、漁業監察官、地方当局と直接意見交換できる「移動式法令教室」を設けています。

こうした創意工夫の結果、2024年の同時期と比べて、漁船のVMS接続喪失率は大幅に減少しました。漁業者は自発的に漁獲日誌を記録し、外国海域に侵入しないという規定を厳格に順守しています。また、多くの沖合漁業者が、自らの判断で1隻に2台のVMS機器を設置する例も出ています。

ゲアン省、タインホア省、ハティン省の当局によりますと、長年の周知活動の積み重ねにより、現在では大半の漁業者がIUU漁業対策の重要性を十分に理解し、持続可能な水産業のための共通の責任と受け止めているということです。

タインホア省でも、IUU漁業対策の順守を促す取り組みが広く実施されています。ティエンチャン社(コミューン)など沿岸地域では、広報チームやZaloグループを立ち上げ、漁船の管理を行うとともに、船主に対して登録や検査の手続き、合法的な操業に関する誓約書の提出を指導しています。2024年、ティエンチャンではVMS接続喪失の7件を処理し、そのうち1件には1億ドンを超える罰金が科されました。これは、同地域が法執行を厳格に進めている姿勢を示すものとなっています。

全国的な「イエローカード」解除への取り組み

各省の水産当局によりますと、ゲアン省、タインホア省、ハティン省には現在約1万3,000隻の漁船があり、すべての沖合漁船がVMSを装備しています。大半の漁船は適切に船名標識が施され、識別番号が付与され、国の漁業データベース「VNFishbase」に登録されています。これにより、操業の透明性が確保され、トレーサビリティの強化にもつながっています。

IUU漁業対策は、目先の課題であるだけでなく、長期的かつ継続的な責任である。各省は必要な資料や根拠となるデータを準備し、ECの検査団を迎える体制を整え、2025年中に「イエローカード」解除を目指す国の取り組みに決意を持って参加しなければならない。

農業・環境省 フン・ドゥック・ティエン副大臣

各地方では行政改革も加速させており、漁業者が登録や検査、漁業許可証の取得、安全証明書の受領をより円滑に行えるよう取り組んでいます。一方、主要な漁港の整備・デジタル化も進んでいます。タインホア省のラックバン、ラックホイ、ホアロック、ゲアン省のクインフオン、ラッククエン、ラックコン、ラックバン、クアホイ、ハティン省のクアソットといった主要漁港では、すでに入港船舶の電子報告が導入されています。

タインホア省は、ハイチャウ港を沖合漁船の拠点港とし、トレーサビリティ手続きに対応できる港として指定することを提案しています。こうした取り組みにより、指定漁港での水揚げ量は大幅に増加しています。タインホア漁港のレー・ディン・タン港長は、「2025年の水揚げ量は約3万トンと見込まれ、2024年のおよそ2倍に達する。厳格で透明性の高い管理は、ECが求める追跡性の基準を満たしており、今後の『イエローカード』解除に向けた基盤づくりにつながっている」と述べました。

広報や管理の取り組みと並行して、各省の国境警備隊は河口での厳格な管理を実施しています。隊員は24時間体制で勤務し、出入港書類の確認、VMSによる船舶の動向監視、IUU違反対応チームの編成、そして巡回・取り締まりの連携強化に当たっています。

2024年1月以降、ゲアン省、ハティン省、タインホア省の当局はIUU関連違反800件に対し、総額約148億ドンの罰金を科しました。

また、各地では地域の監視グループが設けられ、警察と連携して船舶データのVNeIDプラットフォームへの登録、船舶識別番号の付与、長期間活動していない船やVMS接続を喪失した船の追跡などの作業が進められています。

11月上旬、ゲアン省は農業・環境局、水産局、水産監視部門、国境警備司令部が参加する集中取締キャンペーンを開始し、VMS接続喪失の事案の点検と処理を強化しました。タスクフォースは主要な漁業地域で直接活動し、書類が不備の船舶は出港を一切認めず、漁業者がVMS接続を維持し、外国海域に侵入しないよう周知も一段と強化しました。

タインホア省での作業会合で、農業・環境省のフン・ドゥック・ティエン副大臣は、「IUU漁業対策は、目先の課題であるだけでなく、長期的かつ継続的な責任である。各省は必要な資料や根拠となるデータを準備し、ECの検査団を迎える体制を整え、2025年中に『イエローカード』解除を目指す国の取り組みに決意を持って参加しなければならない」と強調しました。

政治体制全体の強い決意、執行機関の支援、漁業者の意識と責任感の高まりにより、北中部各省はECの「イエローカード」解除に向けた全国的な取り組みに重要な貢献を果たしており、持続可能で国際社会への参画を果たす責任ある水産業の実現に向けて前進しています。

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