近ごろ開催された、自然災害の予測および早期警報への科学技術応用に関するフォーラムで、カオ・ドゥック・ファット元農業農村開発大臣は、科学技術、特にデジタル技術や人工知能(AI)の急速な発展が、水文気象予報分野に新たな機会をもたらしていると指摘しました。
近年、ベトナムは政府、企業、国際機関からの投資により、台風の監視・予測能力が大きく向上し、監視、予測、早期警報の体制強化に寄与しています。
これらの取り組みに加え、デジタル技術やビッグデータ、AIの活用が自然災害の監視に新たな可能性を開き、地方行政機関が地域特有に応じたリスクシミュレーションを構築し、気候変動への主体的な対応を図ることを可能にしています。
衛星データに加え、雨量計やレーダー、気温・風速・水位・流速・地盤変動を測定する各種センサーなど、多数の自動化機器が導入されており、データの迅速な統合、地域ごとの精度の高いシミュレーション、そして住民への迅速な情報伝達が可能となっています。
しかし、自然災害はますます多様化し、予測困難になっており、現行の監視・警報システムは実際のニーズに十分応えられていません。
ベトナム防災・堤防管理総局によりますと、2025年11月末時点で、東海を通過した台風および熱帯低気圧は20に達し、2017年の記録に並びました。
さらに、北部および中部の13の河川流域で記録的豪雨と洪水が発生し、都市部や低地で深刻な浸水被害をもたらしました。
11月24日時点で、全国の自然災害による死者・行方不明者は409人、経済的損失は85兆ドン(約32億ドル)を超えています。
被災地の復旧支援と並行して、喫緊の課題となっているのは、科学技術の活用を推進し、より詳細な警報シミュレーションを開発して、防災の実効性を高めることです。
各地方は、科学技術の活用を一層進め、各地域・各災害レベルの洪水・土砂災害リスクシミュレーションを研究・整備し、主体的な警報発信を目指す必要があります。これを実現するには、監視機器や警報システムへの投資、安定的かつ長期的な運用体制の確立が不可欠です。
この課題について、防災政策・工学センターのブイ・クアン・フイ副所長は、多くの地域で情報技術の導入とデジタルトランスフォーメーションが混同されていると指摘しました。「技術があっても、意識が変わらなければシステムは効率的に稼働しない。早期警報は、住民が受け取り、理解し、行動できることが重要だ」と述べました。
同センターは現在、ハティン省で省レベルの自然災害監視システムを試験運用しており、中央から社(コミューン)までのデータを連携させ、住民が気象状況を確認し、警報を受信し、フィードバックできる仕組みを提供しています。同時に、地方当局がデジタル地図上で住民の避難状況を把握できるよう支援しています。
国家水文気象予報センターは、2025年末まで自然災害が依然として複雑で予測困難な状況が続き、中部地域では大規模洪水のリスクがあると見ています。各地方には、直近の洪水被害への対応とともに、今後の災害への備えを進めることが求められています。
短期的には、雨量観測所の密度を高め、集中豪雨の予測精度を向上させることで、鉄砲水、土砂災害、洪水、浸水の警報を強化する必要があります。特に、村単位まで鉄砲水・土砂災害リスクを特定した詳細な自然災害警報地図の作成が不可欠です。また、鉄砲水・土砂災害のリスクが高い山間部や、深刻な浸水が予想される低地の住民については、再調査・再定住・移転を適切に進める必要があります。農作物や家畜の構成も、自然と調和し、効果的かつ持続可能で、災害に強い形に地域ごとに見直すべきです。
長期的には、堤防や貯水池、とりわけ重要構造物や損傷構造物の維持・補修・改修の強化が求められます。また、電力、通信、交通などインフラの防災力向上への投資も不可欠です。貯水池の運用規程も見直し、下流域の洪水軽減のための容量確保を優先すべきです。
何より、住民の防災意識とコミュニティ主体の災害リスク管理を高めるため、デジタルトランスフォーメーションやリアルタイムの災害監視を含む科学技術の活用を図ることが必要です。