ファム・ミン・チン首相は10月3日、台風10号による甚大な被害からの復旧状況を確認し、台風 11号 (マトモ)の接近に備えるため、関係省庁および12の地方行政区とのテレビ会議を主宰し、各機関に対して対応を要請しました。
農業環境省によりますと、10月3日朝時点で、52人が死亡、14人が行方不明となっているということです。349棟以上の住宅が倒壊し、住宅17万2,104棟が損壊しました。約8万9,000ヘクタールの田んぼや農作物が冠水し、家畜や水産業にも大きな損失が出ています。被災した各省の経済的損失は推定で約15兆9,000億ドン(6億270万米ドル)にのぼります。
首相は10月2日、2025年中央予算予備費から2兆5,200億ドンを、被災した15の地方行政区に支援金として割り当てることを決定しました。この資金は、住民の生活支援、堤防や貯水池、防災施設、重要インフラの修復、そして2025年の台風10号およびその他の自然災害の被災地での住民生活の安定を目的としています。
自然災害対策の方針についてチン首相は、「人命の保護が最優先である」と強調しました。厳密な防災体制の構築、早期かつ正確な予報、現地の「現場指揮・物資・人員・資材」の“四現主義”の実践による迅速な対応と救援の重要性を訴えました。
チン首相は、被害の多くが指導力や備えの不十分さ、特に山岳地帯、デルタ地帯、沿岸部、島嶼部におけるインフラの未整備に起因していると認めました。
首相は、各省庁・地方行政区に対し、指示の徹底、生活の早期安定化、犠牲者への尊厳ある葬儀の実施、行方不明者の捜索継続、また被災者のケアを要請しました。
被災者への避難所や食料支援とあわせて、12月15日までに全壊した350戸を再建すること、10月末までに17万2,000戸超の損壊住宅を修復することについても指示しました。
また、10月15日までに学校や医療施設の復旧を最優先し、子どもたちの教育再開と医療アクセスの確保を図るよう求めました。電気・水道・通信など重要インフラの修復、農業や地元企業の再建支援についても強調しました。
チン首相は、国民、企業、各団体が連帯し、困難を乗り越えるために被災者支援に協力するよう呼びかけました。
長期的な課題について首相は、インフラ設計・運用基準の包括的な見直しと強化、特に電力・水道・交通・堤防・灌漑システムの耐災性向上を指示しました。気候変動に対応するため、人口配置計画や都市排水システムの整備、特にハノイを含む洪水多発地域での対策強化を求めました。
「四現主義」の原則を現行の二層制地方行政システムに取り入れるとともに、緊急時に備え、食料・飲料水・医薬品などの必需品を基礎行政区単位で備蓄することを重視する方針を示しました。
また、台風などの自然災害への国民の意識向上、そのような災害に対する備えの強化に加え、台風 11号 (マトモ)の東海(南シナ海)接近に迅速に対応するよう要請しました。