2024年初め、ハイテク裾野産業の発展を目指す方針のもと、ハノイ裾野産業企業協会(HANSIBA)とN&Gグループ(N&G GROUP)は、ベトナム・日本裾野産業発展コンサルティング社、および日本の神戸エアロネットワーク(KAN)地域に属する航空機部品、航空、ロボット、発電機、一般機械の製造企業と連携し、南ハノイ裾野産業団地(HANSSIP)内にベトナム・日本工業複合施設(テクノパーク)を設立するための協力協定を締結しました。
航空産業の好機をつかむ
これまでに、ベトナム・日本テクノパークの第1期工事が進められ、両国企業による工場群が整備されています
なかでも注目されるのは、株式会社オオナガが出資・運営する工場で、航空宇宙産業や高速鉄道、半導体製造装置、ロボット、建設機械、ハイテク農業機械、そして軍民両用の宇宙関連製品の部品を生産しています。 この工場は、米国のボーイング・アビエーショングループの支援を受け、航空宇宙産業の工程に基づいた試験生産を開始しています。
オオナガ社では現在、ドアや脚部(トリポッド)、フラップ、燃料タンクなどに使用される小型航空機部品を製造しています。部品自体は小型ですが、国際航空市場に供給するためには極めて高い安全性と精密度が求められます。
同社は、従業員の安全にも配慮した最新かつ環境に優しい設備システムを導入しており、加工後の部品は表面処理やメッキ工程を経て、航空産業の基準に基づく高い耐久性と品質を確保しています。
株式会社オオナガ・ベトナム法人の石田孝行代表は、ベトナムの航空市場が現在、力強い成長期にあると述べています。2024年には旅客数が1億900万人に達し、国際線の利用者数は前年同期比で24%増加しました。
 商業用航空機の保有数も、2015年の134機から2024年には254機へと増加しており、2030年までには30の空港で計400機に達する見通しです。
 エアバスやボーイングといった大手航空機メーカーは協力関係をさらに拡大しており、国内での部品生産需要が一段と高まっています。 このため、部品供給と産業発展が進むことで、部品製造工場やサプライチェーンの整備を通じて各地域で製造業と雇用を創出することが期待されています。
株式会社オオナガは、ベトナム国内で部品を製造し、国際市場へ輸出することを目指す方針を掲げています。併せて、技術や生産ノウハウの共有、人材育成にも取り組み、ベトナム国内の裾野産業サプライチェーンの持続的な発展を図っています。
 「ベトナムに生産拠点を持つことで、日本企業はサプライチェーンの多様化とリスク分散を図ると同時に、技術移転を進め、現地経済にも貢献することができます。 そのため、株式会社オオナガは、日本の基準を満たす『メイド・イン・ベトナム』の航空機部品生産チェーンを構築するために協力・技術移転を進め、ベトナムの産業力向上、高品質な雇用創出、そして航空宇宙分野におけるグローバル・バリューチェーンへのより深い参入に貢献していきます」と、同社の代表者は強調しました。
ベトナムと日本の協力関係をさらに強化
ハノイ裾野産業企業協会、N&Gグループ、そして株式会社オオナガの協力関係を日越連携のモデルとして評価した石川勇・在ベトナム日本国大使館次席公使は、日本政府と日本企業はベトナムの「新時代」に向けた改革方針を支持していると述べました。
また、日本企業は、サプライチェーンの強化、技術・知識の共有、ベトナム企業への人材育成を通じて、ベトナム産業の付加価値向上に貢献する姿勢を示しているといいます。
 次席公使は、ハノイ南部裾野産業団地(HANSSIP)で株式会社オオナガが安全性と精密性の厳しい基準を満たす航空機部品を製造していると述べました。これらの部品はすでに輸出されて世界の航空産業で使用されており、HANSSIPが国際水準の生産能力を備えていることを示しているといいます。
面積640ヘクタールに及ぶHANSSIPは、日本の大手建築設計事務所・日建設計が日本の工業団地基準に基づいて設計しました。
石川次席公使は、「今後もベトナム政府やN&Gグループをはじめとする企業が、日本企業のこの地域での事業活動を引き続き支援してくれることを期待している」と述べました。
裾野産業の発展に向けた環境づくり
南ハノイ裾野産業団地(HANSSIP)は、ベトナムと日本の企業が幅広い分野で協力を深めるための基盤となりつつあります。特に、航空宇宙部品や高速鉄道、電子機器、基板、ロボット、無線機器、軍民両用製品など、高い精度が求められる分野での連携が進んでいます。
 N&Gベトナムグループの代表によりますと、HANSSIPはすでに入居率が100%に達しているということです。大手投資家の進出により、部品や裾野産業製品のサプライチェーンに関わる関連中小企業や二次投資家からの需要が高まっています。
N&Gグループは現在、中小企業向けに土地の確保や工場の建設を積極的に進めており、投資家が機械設備と人材を持ち込むだけで即座に生産を開始できる環境を整えています。重点分野は電子機器、精密機械、ハイテク製品などで、国内外の生産チェーンに対応しています。
HANSSIPの第2期工事が首相の承認に基づき進められており、中堅企業向けに3,000〜5,000平方メートルの工場および2〜5ヘクタールの土地を提供する予定です。また、全体の2%の土地は中小企業やハイテク企業向けに確保されています。
生産の現地化や資金支援については、N&Gグループが金融機関やベトナム開発銀行(VDB)と連携し、中小企業の設備投資や生産展開のための資金調達を支援しています。同グループはさらに、技術移転、製品加工、ハイテク人材育成もサポートしています。
 N&Gグループのグエン・ホアン会長は、近年、党・国家の方針・指針の実施に沿って、特に裾野産業やハイテク産業の発展がベトナムの企業界によって積極的に進められてきたと強調しました。企業は多くの困難や課題を乗り越え、国内外の生産チェーンへの実質的な参画を実現していると述べました。
同会長によりますと、ベトナム企業界とN&Gベトナムグループが取り組んでいる重要な方策の一つは、世界の先進国(日本を含む)のパートナー企業との協力を推進することです。これにより、技術や生産プロセス、国際的な製造認証の分野で相互支援を図るとともに、ベトナム人技術者・技能労働者への高度な技術研修、知識共有、さらにベトナム市場と国際市場の連携を進めています。
N&Gグループおよびそのエコシステム内の企業は、国際的な生産チェーンの基準を満たす一体型の産業団地インフラ整備への投資に注力しています。HANSSIPは、労働者や技術者、専門家のための医療、教育、文化、住宅などのサービスを備えた総合的な設計となっており、日本をはじめとする国際的なパートナーとの生産協力を促進するための好条件を整えています。
N&Gグループのホアン会長は、「私たちはHANSSIP第2期およびベトナム北部・中部・南部の3地域において、日越産業団地の開発を引き続き進めていく」と強調しました。