APEC 2025:ベトナム イノベーション・デジタル金融・財政政策分野での協力を積極的に推進

韓国で開催された第32回APEC財務大臣会合において、ベトナムはAPEC地域の安定と共通の繁栄に向けて積極的に貢献する意志を改めて表明しました。

グエン・ヴァン・タン財務大臣が韓国・仁川で開催された第32回APEC財務大臣会合に出席した。
グエン・ヴァン・タン財務大臣が韓国・仁川で開催された第32回APEC財務大臣会合に出席した。

第32回APEC財務大臣会合が、APEC 2025首脳会議ウィークの一環として、10月21日に韓国・仁川で開催されました。本会合は、韓国のク・ユンチョル副首相兼企画財政部長官が議長を務めました。ベトナムからはグエン・ヴァン・タン財務大臣率いる代表団が出席し、APEC加盟国の財務大臣や高官、国際金融機関の関係者らとともに議論を交わしました。

「地域の持続可能な成長と共通の繁栄」をテーマに、会合ではAPEC 2025の三つの優先分野であるイノベーション、デジタル金融、財政政策に焦点が当てられました。

グエン・ヴァン・タン財務大臣は会合で、ベトナムのマクロ経済状況と今後の見通しについて報告しました。2025年初めからの9か月間でベトナム経済は7.84%の成長を遂げており、年間成長率は8.1〜8.5%に達する見込みです。インフレも抑制されており、同期間の消費者物価指数(CPI)は3.27%の上昇にとどまっています。

ベトナムは2026年から2030年の期間において10%以上の二桁経済成長を達成することを目指しています。科学技術、イノベーション、国家のデジタルトランスフォーメーションといった重要な戦略的方向性を推進し、国際的な統合を強化するとともに、制度や法的枠組みの整備を進めます。また、行政手続きの簡素化や制度上のボトルネック解消に注力し制度改革を社会的資源を引き出すための競争優位性へと転換することを目指します。ベトナムは民間部門のさらなる発展にも注力し、迅速かつ持続可能な国家成長の原動力とする方針です。

イノベーション、デジタル金融、財政政策は、ベトナム経済発展の中核的な柱であり続けている。
イノベーション、デジタル金融、財政政策は、ベトナム経済発展の中核的な柱であり続けている。

APEC 2025の主要議題であるイノベーション、デジタル金融、財政政策について、グエン・ヴァン・タン大臣は、ベトナムにおいて科学技術、イノベーション、デジタルトランスフォーメーションが経済成長の主要な推進力であると強調しました。

ベトナム財務省は、公共財政および金融市場のデジタルトランスフォーメーションの加速、ホーチミン市とダナンにおける国際金融センターの開発、国内デジタル資産市場の試験運用など、複数の重要な取り組みを進めています。

人工知能(AI)は金融分野の変革に多くの好影響をもたらす一方で、潜在的なリスクにも留意することが重要です。これを踏まえ、ベトナムはAIの安全・透明・持続可能な活用を確保するための施策や政策指針について、自国の見解や経験を共有しました。

財政政策運営の観点からは、特に公共財政への圧力が高まる中、短期的な安定化から構造的投資や長期的リスク管理への転換の必要性を強調しました。主な優先事項として、持続可能性を重視した社会支出制度の改革、人材・技術への戦略的投資、柔軟な財政運営、歳入源の最適化、成果重視の予算編成による公共支出の効率化などが挙げられました。

会合では、各国の財務大臣が世界経済の現状について意見を交換しました。世界経済はパンデミック後に回復の兆しを見せているものの、地政学的緊張、主権債務リスク、気候変動など多くの課題に直面しています。こうした状況の下、APEC加盟国は、柔軟なマクロ経済政策の維持と多国間協力の強化が、地域の耐久力と成長の鍵であることを確認しました。

大臣らは、イノベーションが生産性向上の主な原動力であることを再確認し、技術やデジタル金融の発展における官民連携の重要性を強調しました。また、金融分野におけるAI活用の可能性、特に中小企業への資金アクセス拡大における役割にも注目が集まりました。APEC加盟国は、AIエコシステムの発展促進、消費者保護、金融の安定確保のため、安全かつ透明性の高い政策枠組みの構築に向けた協調的な取り組みを呼びかけました。

第32回APEC財務大臣会合に出席した代表団
第32回APEC財務大臣会合に出席した代表団

財政政策に関しては、持続可能な財政運営がマクロ経済の安定維持に不可欠であることを再確認しました。財政規律と慎重な債務管理の強化、インフラや質の高い人材投資に重点を置いた公共支出の効率化、官民連携の推進による社会資源の動員と公共サービスの向上などで合意しました。

会合の締めくくるにあたり、大臣らは今後5年間のAPEC財務大臣プロセス(FMP)の戦略的方向性を示す「仁川プラン2026–2030」を採択しました。

この行動計画は、イノベーション、金融、財政政策、アクセスと機会の四つの柱を中心に構成されています。

また、APEC財務相共同声明2025も承認されました。

合意された行動計画の下、中国が2026年に第33回APEC財務相会合の議長国を務め、APEC地域全体での協調と共通の繁栄の精神を引き継いでいくことになりました。

NDO
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