ベトナム IUU漁業に断固として対抗

政府の強い指導のもと、IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)対策強化月間が中央から地方まで一体となって実施されています。取り組みの重点は、漁船団の厳格な管理、航行監視の強化、水産物の流通経路の透明化、そして違反行為への厳正な対処に置かれています。

クアンガイ省は、IUU漁業対策の一環として、漁船の港への出入りに対する検査と管理を強化している。(写真:ルー・フオン)
クアンガイ省は、IUU漁業対策の一環として、漁船の港への出入りに対する検査と管理を強化している。(写真:ルー・フオン)

これは、責任ある、近代的で国際的に調和した漁業の実現に向けたベトナムの強い決意の表れでもあります。

厳正な取り締まりの実施

午後9時、サムソン国境警備隊作業班と第2艇隊(タインホア省国境警備司令部所属)の兵士が、船に乗り込み海へと向かいました。この時間帯は潮が満ち始め、漁船が港を離れて出港する時刻でもあります。

港に出入りするすべての漁船を検査し、特に必要書類や安全装備が不十分なまま出港する違法行為を早期に発見することを任務とし、国境警備隊は24時間体制で厳格な監視業務を実施しています。

グエン・フー・ロン少佐(サムソン国境警備隊クアン・クー管理所)は「昼夜を問わず、悪天候の場合でも、各シフトごとに明確な担当を割り当て、各隊員に具体的な任務を与え、厳格な管理を徹底している。IUU漁業目的で検査や監視を意図的に回避しようとする漁船も見逃さない」と語りました。

欧州委員会(EC)の「イエローカード」撤廃という喫緊の課題に対応するため、メコンデルタ地方の各省も、漁船の管理や港の入出港の厳格な監視、IUU違反に関する捜査・起訴・裁判の迅速化に力を入れています。

アンザン省とカーマウ省は、いずれも大規模な漁船団と広大な漁場を有し、複数の隣国と海上で国境を接していることから、違反の監視・取り締まりは非常に困難で複雑な状況にあります。

しかし、地方当局の高い決意と一体的な取り組みにより、両省のIUU対策は多くの顕著な成果を上げています。特に、IUU違反に対する捜査や裁判は一切の妥協なく進められており、法の厳正さと公正さを示すものとなっています。これは、ECが特に注目している点でもあります。

2025年10月末時点で、カーマウ省では全長15メートル以上の漁船およそ2,000隻に船舶監視システム(VMS)が設置され、「三なし」漁船(登録なし、検査なし、許可なし)はゼロとなりました。カーマウ省人民委員会のレ・ヴァン・スー副主席によりますと、同省は漁業分野で470件以上の行政違反を摘発・処理し、総額100億ドン超の罰金を科したということです。この中にはVMS切断の43件も含まれており、全ての事案は管理ソフトウェア上に記録されています。

アンザン省IUU漁業対策指導委員会によりますと、VMS切断や国境越え違反を犯した425隻のうち、2025年10月末までに省作業部会が374隻と面談し、185隻を違反なしとして処理を完了、92隻に対しては総額54億ドン超の罰金を科しました。残る漁船についても、現在、速やかに処理が進められています。

IUU漁業に関連する法令違反への対処をさらに強化するため、水産・漁業管理局のブー・ズエン・ハイ副局長は、農業・環境省が政府に対し、政令第37/2024/ND-CPおよび第38/2024/ND-CP(漁業法の施行および漁業分野の行政違反処分に関する政令)を改正・補足する新たな政令案を提出したことを明らかにしました。この改正案では、違反行為や対象の範囲をより明確化し、たとえば規定に従わずに水産物を購入・加工・輸出した組織や個人、あるいは意図的に違反した者も処分対象に含めています。罰則水準の引き上げとともに、法執行機関の処分権限を拡大する内容となっています。

漁業者とともに

およそ1,300隻の漁船を有するロンハイ社(コミューン)は、ホーチミン市で最大の漁船団を擁する地域です。しかし、そのうち160隻は登録書類の不足や、所有権移転手続きがなされないまま省外に売却された、あるいは所有者が不明であるなどの理由で、出港の要件を満たしていません。

近年、フオックティン国境警備隊とロンハイ社当局は、「漁師とともに朝食を」「漁師と朝のコーヒーを」などのプログラムの実施や、社の拡声器による定期的な放送を通じて、IUU漁業対策に関する様々な情報を漁業者に周知しています。

ロンハイ社人民委員会のグエン・ミン・タム副主席は、こうした密接な会合を通じて、IUU漁業対策に関する党と政府の方針や指針を漁業者に伝えるとともに、漁業者の思いや要望を聞き取り、困難の早期解決に努めていると述べました。これにより、漁業者が生活基盤を安定させ、安心して長期間海に出られるよう支援しているということです。

これらの会合では、住民からさまざまな意見が寄せられています。たとえば、中古エンジンへの交換後に古い漁船を再登録する手続きが難しく、数十隻が出港できない状況にあることや、省や市をまたいだ船舶の売買で手書きの書類しか認められず、正式な所有権移転ができないといった問題などが挙げられました。

ザーライ省人民評議会は10月27日、漁業者の職業転換期における支援政策に関する決議を可決しました。支援の対象は、漁船の所有者およびその世帯員で、支援額は1人あたり1か月30キログラム分のコメに相当する現金として算定されます。さらに、各漁船主世帯には2025年9月から12月末まで、月額300万ドンの支援金が支給される予定です。実施に要する総経費は約88億ドンと見込まれています。

この8年間、ベトナムの水産業は、IUU漁業に関する「イエローカード」解除に向け、数多くの改革と変化を重ねながら、粘り強い努力の道のりを歩んできました。政府の方針のもと、ベトナムはIUU漁業の根絶と「イエローカード」解除に向けて断固とした決意で臨んでいます。各省庁や地方当局は、責任を回避することなく、実質的かつ迅速な行動を取ることが求められています。 その最終的な目標は、国民と国家の利益のために、持続可能な水産業を発展させることにあります。

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