少数民族文化の保存と振興 ー 内なる力を呼び覚まし、ベトナムの独自性を広める

少数民族の文化的価値の保存と振興は、統一の中に多様性が息づくベトナム文化の不可分の一部として、党と国家が常に深い関心を寄せ、的確に指導を行っています。

職人が若い世代に伝統的な旋律を教える。(写真:nhandan.vn)
職人が若い世代に伝統的な旋律を教える。(写真:nhandan.vn)

地域密着型観光と連携した文化遺産の保存と文化の発展

近年、2021年から2030年を対象とした「少数民族・山岳地域社会経済開発国家目標プログラム」の第6号プロジェクトの実施により、少数民族コミュニティの文化的・精神的生活や生計の向上に寄与する前向きな変化が生まれています。

「少数民族の文化は、統一の中に多様性が息づくベトナム文化の重要な一部である」という一貫した方針のもと、少数民族の文化的価値の保存と発揮が、長年にわたり包括的かつ効果的に進められてきました。

ベトナム文化スポーツ観光省民族文化局の担当者によりますと、文化スポーツ観光省が主導する第6号プロジェクト「観光開発と結びつけた少数民族の優れた伝統文化価値の保存と発揮」は、全国規模で実施されており、19の構成事業から成っています。プロジェクトは、伝統文化のアイデンティティの復元・保存・発揮、文化と持続可能な観光開発の連携、そして少数民族コミュニティの文化活動や精神生活へのアクセス向上を目的としています。

これまでに、多くの有形・無形文化遺産の調査・復元・保存が進められ、モン族の「ガウタオ祭」、中部高原地域の「ゴング文化祭」、タイ族・ヌン族・ターイ族の「テン歌とダンティン弦楽器祭り」など、各民族の主要な祭りが復活し、国家無形文化遺産リストにも登録されました。これらは今では、際立った文化・観光の見どころとなっています。

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多くの有形・無形文化遺産が調査・復元・保存され、独自の文化・観光の見どころとなっている。(写真:THANH DAT)

地域レベルでの文化生活の充実に向けた取り組みは、顕著な成果を上げています。各地で多数の文化会館やコミュニティセンターが新設・改修され、民俗文化クラブや伝統芸能団体が数千にのぼる規模で設立され、職人や村の長老、少数民族の若者たちが積極的に参加しています。

また、無形文化遺産や地域密着型観光のスキル、文化継承に関する研修がこれまでに1万6,000人以上を対象に実施され、地域に根ざした文化の保存・活用能力の向上につながっています。さらに、各地域および全国規模で少数民族の文化・芸術・スポーツ祭典が定期的に開催されており、民族間の交流の場となるとともに、多様な民族文化の魅力を広く発信する機会にもなっています。

文化保存と地域密着型観光を結びつける取り組みは、明確な成果を上げています。トゥエンクアン省ナーハン、フート省ラック文化村、ザーライ省プレイオイ、ライチャウ省シンスオイホーなど、多くの少数民族が暮らす観光地で整備や改修が進められ、文化保存と生計向上を両立させた持続可能なコミュニティ観光モデルが構築されています。

その結果、コミュニティハウスを有する村の割合は93.8%、伝統文化・芸術団体が定期的に活動する村の割合は66.1%に達し、いずれも国会が定めた目標値(それぞれ80%と50%)を上回りました。

文化の価値を広め、全民族の結束強化へ

ベトナム文化スポーツ観光省民族文化局は毎年、ベトナム民族文化・観光村で多彩な文化活動を実施しています。「ふるさとに広がる春の彩り」「ベトナム民族文化の日」「全民族団結週間 ― ベトナム文化遺産ウィーク」「高原マーケットフェア」などのイベントは恒例行事となっており、全国54民族それぞれの文化の美しさ、風習、祭り、伝統的な手工芸を生き生きと再現しています。

これらの行事は、民族文化遺産を顕彰し、文化的アイデンティティの保存に対する地域社会の意識を高めるだけでなく、国内外の来訪者が文化を体験し、交流できる場にもなっています。

過去1年間で、ベトナム民族文化観光村は数百件の大規模な文化・観光イベントを開催し、数十万人の来場者を惹きつけ、ベトナム文化を国際社会に発信する魅力的な観光地となっています。

ベトナム民族文化局によりますと、2021~2025年の期間における少数民族伝統文化の保存と発揮の取り組みは顕著な成果を上げ、全民族の団結の強化、文化享受の拡充、持続可能な地域密着型観光の発展に寄与しています。こうした取り組みは、文化と生計を結びつけ、多くの世帯が貧困から脱する助けにもなっています。

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ダクラク省で少数民族の児童にゴングの演奏を教える職人たち(写真:baodantoc.vn)

2026~2030年の新たな段階に入るにあたり、文化保存の取り組みは、伝統的価値の復元と持続的な発揮を目指し、地域密着型観光の発展と結びついた健全で多様性に富み、創造性あふれる文化環境の構築を目標としています。

ベトナム民族文化局は、今後の主な課題として、模範的な伝統文化村の保存と発揮、特別国家遺跡の修復、文化施設の整備、地域密着型観光拠点の形成、少数人口民族の文化的アイデンティティの復興、少数民族・山岳地域での文化・スポーツ・観光交流イベントの開催、少数民族文化に関するデータベースの構築、メディアを活用した文化観光の推進などを挙げています。

2021~2030年を対象とする「少数民族・山岳地域社会経済開発国家目標プログラム」の第6号プロジェクトは、少数民族および山岳地域における持続可能な発展のために、文化が重要な内発的資源であることを改めて示しています。

今後の期間においては、伝統文化の価値の保存と発揮が、より新しいアプローチのもとで進められ、重点的な投資の拡充、社会化の推進、デジタル技術の活用強化が図られます。その最終目標は、「アイデンティティの継承 ・ 持続可能な発展の促進 ・ 少数民族コミュニティの文化生活の向上」を実現することにあります。

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