今回のトー・ラム書記長のイギリス訪問は、ベトナム・イギリス戦略的パートナーシップ樹立15周年(2010〜2025年)と時期を同じくするものであり、両国にとって大きな意義を持ちます。この訪問は、ベトナムとイギリスがこれまでの協力の歩みを振り返り、今後の二国間関係を一層発展させるための新たな方向性について合意し、平和・協力・持続可能な発展を目指す独立・自主、多様化・多角化というベトナムの一貫した外交方針を改めて確認する好機となります。
1973年にベトナムとイギリスが正式に国交を樹立して以来、両国は大陸を隔てながらも、半世紀を超える友情と共通の発展の道のりの中で多くの成果を上げてきました。そして、2010年9月の戦略的パートナーシップの樹立は、二国間関係の歴史における新たな章の幕開けとなりました。
ベトナムの党と国家は常に、地域および世界の平和・協力・発展のために、両国国民の期待に応えるべく、ベトナムとイギリスの関係強化を極めて重視してきました。一方、イギリスもベトナムをアジア太平洋地域における最も重要なパートナーの一つと位置づけています。
50年以上にわたる歩みの中で、ベトナムとイギリスの良好な関係は、政治、外交、経済、文化などあらゆる分野での成果を通じて、その強い生命力と柔軟性を示してきました。政治的信頼も一層深まり、両国はあらゆるレベル、特にハイレベルでの代表団の往来や接触を継続的に行い、二国間協力の枠組みを効果的に実施しています。
両国はまた、国連やASEAN・英国枠組みなどの多国間フォーラムにおいて、地域・国際的な共通関心事項についての協調も強化しています。ベトナムは、イギリスの包括的かつ先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)加盟プロセスを積極的に支持してきました。
貿易と投資分野での協力関係も順調に発展しています。両国はイギリス・ベトナム自由貿易協定(UKVFTA)に署名し、協力をさらに拡大するための新たな機会を創出しました。イギリスはベトナムにとってヨーロッパで3番目に大きな貿易相手国であり、一方ベトナムはイギリスにとって東南アジア最大の貿易相手国です。2024年の二国間貿易額は84億米ドルに達し、2023年比で18%増加しました。2025年上半期だけでも、貿易額は43億米ドルに上り、前年同期比で約10%の伸びを示しています。現在、イギリスはベトナムで587件の投資プロジェクトを展開しており、登録資本金の総額は44億6,000万米ドルに達しています。これは、ベトナムに投資している国・地域の中で第15位に相当します。
教育・人材育成分野での協力は、二国間関係の中でも際立った柱の一つとなっています。世界トップクラスの教育水準で知られるイギリスは、ベトナムをはじめ各国の留学生にとって魅力的な留学先であり、現在およそ1万2,000人のベトナム人学生がイギリスで学んでいます。科学技術分野では、これまでに約50件の共同研究プロジェクトと複数の協力活動が実施されてきました。また、環境保護や気候変動への対応においては、イギリスが調整国として、ベトナムと国際パートナーグループとの間で進められている公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)の実施を積極的に支援しています。
ベトナムは、国家建設と発展の過程において、イギリス政府と国民から寄せられた貴重な支援と協力を常に高く評価しています。イギリスは、繁栄基金、ニュートン基金、および持続可能なアジアのための行動計画などを通じて、ベトナムにとって主要な支援国の一つとなっています。
地方レベルでも、両国は7組の地方間で友好提携を結んでいます。また、友好団体は文化、教育、青少年交流などの活動を積極的に推進し、相互理解を深め、両国民の友情の絆を一層強化しています。
イギリス在住のベトナム人コミュニティは約10万人にのぼり、安定した生活を送り、現地社会にうまく溶け込み、法を順守しつつ、ベトナムとイギリスの関係発展に持続的な貢献を続けています。
50年以上にわたる誠実で実りある協力の歴史を基盤に、ベトナムとイギリスは、二国間関係を新たな高みに引き上げるべく、確かな歩みを進めています。
トー・ラム書記長夫妻および高官代表団によるイギリスへの公式訪問は、両国関係のさらなる深化に向けた重要な節目となり、新時代における両国の共通の発展目標を実現するための揺るぎない基盤を築くものです。