党書記長 "ベトナムは英国の誠実で信頼できるパートナー"

トー・ラム党書記長は、イギリスの若者、研究機関、大学、イノベーション企業、市民社会組織、そして将来の政策立案者たちが、変化する国際秩序の中で、責任と利益を分かち合う誠実で信頼できるパートナーとしてベトナムを捉えてほしいとの期待を示しました。

トー・ラム書記長は10月28日午後、オックスフォード大学にて、教授、講師、研究者、学生らに向けて政策演説を行った。(写真:VNA)。
トー・ラム書記長は10月28日午後、オックスフォード大学にて、教授、講師、研究者、学生らに向けて政策演説を行った。(写真:VNA)。

トー・ラム党書記長は10月28日午後、オックスフォード大学で教授、講師、研究者、学生、そしてベトナムの関係者らを前に政策演説を行いました。

ラム書記長は、世界が急速に変化する中で問われているのは「どちらの側に立つか」だけでなく、「いかに自国の立場を堅持し、自立を保つか」であると指摘しました。そして、これはベトナムにとって極めて重要な問いであると述べ、「ベトナムは平和、独立、自立、そして共通の発展に向けた協力の道を選んできた」と強調しました。

書記長は、犠牲を払って独立を勝ち取り、平和のために多大な代償を支払ってきた国として、ベトナムはその至高の価値を深く理解していると述べ、ホー・チ・ミン主席の「独立と自由ほど尊いものはない」という理念は、今なお国家運営と国際関係におけるベトナムの指針となっていると強調しました。

トー・ラム書記長は、ベトナムは対立や衝突による発展を追求するのではなく、公正な対話、国際法の尊重、そして互恵の原則を重視していると強調しました。主権は、武力や威圧によって主張されるべきではなく、相互の尊重、共通のルールを守る合意、そして利益の共有を通じて確立されるべきだと述べました。こうした姿勢こそが、ベトナムが政治的・社会的安定を維持しつつ、積極的に国際経済へ参画し、新世代の自由貿易協定に加盟し、イギリスをはじめとする世界各国とのパートナーシップを拡大してきた要因であると指摘しました。

新時代におけるベトナムの発展ビジョンについて、ラム書記長は、科学技術、イノベーション、デジタル転換、知識経済が今後の成長をけん引する重要な原動力になると述べました。ベトナムは現在、国家デジタル転換戦略を推進し、グリーンで循環型、かつ低炭素な経済の構築を進めており、イノベーションを競争力と強靱性の源と位置づけています。さらに、ベトナムは市場原理に基づき、公正な競争を促し、民間企業を成長の原動力として重視する社会主義志向の市場経済を引き続き洗練させていく一方で、ベトナム共産党の指導の下、社会主義法治国家の指導的・規制的役割を堅持し、進歩と社会的公正を確保していくと述べました。

ラム書記長は、ベトナムが民間部門を経済成長を加速させる最も重要な原動力と位置づけている一方で、国有部門をマクロ経済の安定、経済安全保障、エネルギー安全保障、食料安全保障を確保する先導的な役割として重視していると述べました。また、法の支配に基づく国家の運営、清廉な統治、腐敗・浪費・既得権益との闘いは、国民の信頼を育み、社会資源を効率的に配分し、すべての国民が公正に発展の成果を享受できるようにするための不可欠な条件であると強調しました。

「すべての発展戦略の中心には“人”がいる」とラム書記長は強調しました。「私たちの目標は単なる統計上の数字ではなく、生活の質そのものを真に向上させることだ。それは、所得、住居、医療、教育、社会保障、自己成長の機会、そして安全で清潔な環境といった面での改善を意味している。私たちは、環境を犠牲にしない成長、文化的アイデンティティを失わない工業化、誰一人取り残さない都市化を追求している」と述べました。

ラム書記長は、ベトナムの二つの戦略的目標を改めて確認しました。すなわち、2030年までに現代的な産業を持つ中上位所得国となること、そして2045年までに現代的な経済と先進的な社会、高い生活水準、そして国際的にふさわしい地位を備えた先進・高所得国へと発展することです。

ベトナムとイギリスの関係について、ラム書記長は、ベトナムがイギリスを貿易、教育、科学技術の分野での協力相手としてだけでなく、21世紀の協力の在り方を共に形づくる長期的な戦略的パートナーと位置づけていると述べました。両国関係は、平和と安定の維持、国際法の遵守、航行の自由、強靭なサプライチェーン、公正な貿易、持続可能な発展、さらには気候変動対策やグリーン成長における共同の取り組みといった共通の利益に基づいて築かれていると強調しました。

ラム書記長は、「実践的で測定可能、かつ両国民に利益をもたらす『新たな協力モデル』」の構築を呼びかけました。これは、先端科学技術、医療、大学教育、都市ガバナンス、エネルギー転換、金融サービスといったイギリスの強みと、デジタル・グリーン転換、人材育成、イノベーション、制度改革といったベトナムの目標を組み合わせるものです。書記長は、これは単なる技術移転ではなく、共に未来を形づくるプロセスだと強調しました。

さらにラム書記長は、オックスフォード大学が公衆衛生、バイオテクノロジー、責任あるAI、気候変動、クリーンエネルギーといった分野での共同研究や人材育成を通じて、この共創による未来づくりに具体的な役割を果たすことができると述べました。

ラム書記長は、ベトナムの政策研究機関と、イギリスの政策・公共ガバナンス・持続可能な開発研究センターとの間で交流プログラムを実施すること、ベトナム企業のイノベーションや技術系スタートアップを支援するための協力を進めること、そして持続可能な都市開発、グリーンファイナンス、オープン教育、デジタルヘルスケア、地域医療といった、双方にとって共通の関心と緊急性の高い分野での共同パイロット事業を展開することを提案しました。書記長はまた、ベトナムは現在、「豊かな国民、強い国家、民主、公平、文明社会」という目標のもと、国民が包括的な安心を享受し、平等に成長の機会を得られる、豊かで人間味にあふれ、現代的でグリーンな国家の構築をめざす、新たな発展段階に入っていると述べました。

ラム書記長は、ベトナムが人間性と道義の力を信じていることを強調しました。ベトナム民族は常に慈愛と正義によって勝利を収めてきたと述べ、真の国力とは軍事力や財力だけでなく、道義の力、団結、そして信頼にこそ宿ると強調しました。

書記長は、「私たちは平和を愛し、自由と発展を希求し、対等な協力を求め、押し付けを拒み、国際法を尊重し、そしてこの地球がすべての人類に属するものであるがゆえに、団結と協力のある世界を望んでいる」、「私たちは国際法を尊重している。世界が対立する陣営に分断されることを望まず、むしろ団結した世界を願っている。すべての国が共に発展できる世界を目指している」と述べました。

このような精神のもと、ラム書記長は、ベトナムを誠実で信頼に足るパートナーとして見てほしいと呼びかけました。書記長は、相互尊重、共通の利益、そして長期的なビジョンに基づく包括的かつ実質的な戦略的枠組みを構築することにより、ベトナムとイギリスの関係を新たな高みに引き上げることができると信じていると述べました。それは、両国にとっての推進力であり、模範であり、そして成功の共有物語となり、21世紀における平和・安定・持続可能な発展にも寄与するものになると強調しました。

この機会に、トー・ラム書記長とベトナム代表団、そしてオックスフォード大学の幹部は、ベトナムとイギリスのパートナー間で交わされた複数の協力文書の署名を見届けました。

これらの協力文書には、タム・アン研究所とオックスフォード大学との間で締結された、医療分野の人材育成・研究・イノベーションに関する協定や、ベトジェット航空とオックスフォード大学による「ネット・ゼロ・カーボン」に関する共同研究が含まれています。後者は、ベトジェットの「Fly Green」キャンペーンの一環として実施され、持続可能な航空燃料(SAF)の使用、カーボンオフセット、植林、再生可能エネルギーへの投資、そしてAIの活用などを通じ、旧型機に比べて乗客1人あたりの排出量を38%削減することを目指しています。

また、協力内容には、ソビコ・グループとオックスフォード大学が共同で設立した「オックスフォード・パイオニア奨学基金」も含まれています。この基金は、特にベトナム出身の優秀な学生に対し、長期的な学習および研究の機会を提供することを目的としています。これまでに総額70万ポンドが拠出され、教育学、化学、臨床医学、ゲノミクス、経営学(MBA)などの分野で、11名の優れたベトナム人奨学生が支援を受けています。

VNA
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