ホーチミン市建設局によりますと、これら2件の事業では1,800世帯以上の土地収用が必要となり、総投資額は約16兆6,000億ドンを超える見込みです。
具体的には、バーロン水路(ドイ水路からバーラオ水路までの区間)が全面的に浚渫され、全長約10キロにわたる護岸が整備されます。また、全長約1キロ、幅12〜18メートルの新しい道路も建設される予定です。さらに、国道50号線上に長さ60メートルのバーロン2号橋が建設されます。総投資額は約9兆2,280億ドンで、そのうち6兆6,000億ドン超が補償および再定住費用に充てられます。建設費は約2兆ドン、残りは予備費、コンサルティング費、管理費などに充てられる計画です。
また、バーロン水路は、ホーチミン市洪水防止マスタープランで定められた7つの主要排水軸の一つであり、市中心部から南部へと水を流す重要な水路として位置づけられています。
チャインフン区とビンフン社(コミューン)を流れるオンベー水路の浚渫・環境改善・都市再開発事業には、総額約7兆4,340億ドンが投じられる予定です。
この事業では、主に全長約4.2キロのオンベー水路の浚渫、5.6キロにわたる護岸の建設、そして幅12〜16メートル、全長約2.4キロの計画道路の整備が含まれています。護岸沿いには、歩道、手すり、排水設備、桟橋、植樹、照明などの都市インフラが一体的に整備される計画です。
この事業の実施にあたっては、チャインフン区内の1,425世帯から土地の収用が見込まれています。
両事業が完了すれば、サイゴン南部地域における貯水・排水機能の強化に加え、約470ヘクタールの範囲で排水能力を向上させ、浸水被害を軽減する効果が期待されます。また、周辺環境の改善や水路沿いの都市空間の再整備、エコロジカル・コリドー(生態回廊)の形成を通じて、ホーチミン市南部の社会経済発展を後押しする原動力となる見込みです。
さらに、これらの2つの事業はドイ水路の排水能力向上にも寄与し、あわせて「気候変動を考慮したホーチミン市高潮対策事業(第1期)」との連携も図られます。同事業は総投資額約10兆ドン規模で、市中心部の浸水被害軽減を目的としています。
近年、ホーチミン市は水路沿いのインフラ整備や改善プロジェクトを多数実施し、汚染の軽減、洪水防止、都市景観の向上に取り組んでいます。現在も、タムルオン・ベンカット・ザックヌオックレン水路整備事業(投資額9兆ドン超)、スエンタム水路事業(17兆ドン超)、ドイ運河北岸護岸整備事(7.3兆ドン超)などの大規模事業が進行中です。
また、2026~2030年のホーチミン市社会経済開発方針によりますと、市は水路上または水路沿いに建てられた住宅のうち50%、およそ2万戸の移転を完了することを目標としています。