循環型経済モデルへの移行を目指して ー ハノイでフォーラム開催

ベトナム社会科学院傘下のベトナム・世界経済研究所は11月10日、ハノイにて「ベトナムにおける循環型経済の実施 ー 政策と行動の連携」と題したフォーラムを開催しました。

「ベトナムにおける循環型経済の実施 ー 政策と行動の連携」フォーラム(写真:キム・ズン)
「ベトナムにおける循環型経済の実施 ー 政策と行動の連携」フォーラム(写真:キム・ズン)

このフォーラムには、エネルギー、環境、グリーン生産の分野で先導的な企業をはじめ、専門家、研究者、各省庁や関連機関の代表、国際機関、中央および地方メディアなど、200人を超える関係者が参加しました。

開会のあいさつで、ベトナム社会科学院のレー・ヴァン・ロイ院長(教授・博士)は、循環経済は単なる概念ではなく、デジタル移行とグリーン移行という二重の転換の中で、ベトナムの新たな発展構造を形づくるものですと述べました。これは、資源依存の低減、排出削減、エネルギーと資材利用の効率化を進めるとともに、持続可能な市場や雇用、新たな価値連鎖を創出するための不可避の道でもあるとの考えを示しました。

ロイ院長は、フォーラムは学術交流の場であるだけでなく、政策、企業、知識、そして実践をつなぐ架け橋として、ベトナムにおける包括的な循環型エコシステムの形成に貢献するものだと強調しました。

ベトナムの農業分野における循環型経済について、人文地理・持続可能開発研究所のチュウ・タイン・クアン氏は、作物生産分野では年間およそ9,500万〜9,800万トンの農業副産物や廃棄物が発生しており、そのうちコメ生産だけでも約5,200万トンのもみ殻やわらが生じていると述べました。これらは、有機肥料やバイオエネルギー、バイオマス資材へと転換できる豊富な資源だが、そのうち再利用されているのは約50%にとどまり、残りは焼却されており、資源の無駄遣いや温室効果ガスの排出につながっていると指摘しました。

クアン氏は、わらを利用したキノコ栽培、バイオマスペレットの生産、微生物による堆肥化など、コメの副産物を再利用するモデルは、農家の収入向上と生産コストの削減に効果を上げていると述べました。さらに、わらや作物副産物の再利用率を高めることは、排出削減や付加価値の向上、循環型農業バリューチェーンの構築につながる大きな機会だと強調しました。

都市分野に関しては、家庭ごみ管理の現状や一部都市での試験モデルが分析され、ごみの分別徹底や、地域におけるプラスチックリサイクル網の構築によって循環性を高め、温室効果ガス排出を削減する方策が提案されました。また、循環経済の発展と移行の中心的な役割を担うのは企業であり、技術投資コストや法規制、リサイクル製品の市場や認知度の不足など、現存するさまざまな障壁を乗り越えることが求められています。企業の立場からは、グリーン金融の仕組みや税制優遇の改善、循環型ビジネスモデルの革新促進に向けた提言も示されました。

発表内容や議論を踏まえ、主催者は「制度整備」「技術革新」「分野・地域ごとの循環型経済モデル開発」「官民連携の強化」という4つのソリューションを軸に、ベトナムにおける循環型経済発展に関する政策提言報告書を取りまとめ、最終化する方針を明らかにしました。

NDO
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