この発言は、ホーチミン市商工局のグエン・チュオン・ティ副局長が11月14日に開催されたシンポジウムで述べたものです。
「ASEAN経済共同体と、ベトナム企業の主要輸出品におけるASEAN自由貿易協定(FTA)の活用」というテーマの本シンポジウムは、商工省多国間貿易政策局とホーチミン市商工局の共催で行われました。
統計総局によりますと、2025年1月から10月までの10か月間におけるベトナムの貿易総額は7,624億4,000万ドルに達し、前年同期比で17.4%増加、輸出は16.2%増となりました。ホーチミン市の企業による貿易額は762億3,000万ドルで、2024年同期比で約4.9%増加しました。
こうした成果にもかかわらず、課題は依然として残っています。多くの中小企業はFTAに関する情報を十分に得られておらず、特に貿易救済措置などの技術的障壁により、ベトナムの鉄鋼製品、木材製品、プラスチック製品の輸出に影響する事案が数百件に上っています。また、原産地規則(C/O)の複雑さから、優遇関税の恩恵を受けられない企業も多く、ASEAN経済共同体のATIGA協定は現在、こうした障害に対応するため改定作業が進められています。
これらの課題に対応するため、商工省は「FTA活用のためのビジネス支援エコシステム」を構築し、政府機関、業界団体、物流・金融・法務サービスの提供者を連携させています。この取り組みは、競争力の強化と持続可能な発展の促進を目指しています。
グエン・チュオン・ティ副局長は、市商工局が商工省と緊密に連携し、新世代FTAの周知や、企業からの意見集約を通じた政策改善につなげていく方針を示しました。
シンポジウムでは、ASEANの経済統合の進展状況、FTA交渉の動向、貿易救済措置のコミットメント、新たな原産地規則などについての最新情報も提供されました。専門家らは、地元企業にとって有望な分野を指摘するとともに、ASEAN市場の魅力として、世界第3位の人口規模、輸送コスト削減につながる地理的優位性、そしてベトナムと類似した消費習慣を挙げました。
FTAを効果的に活用し、技術的障壁を克服することで、ホーチミン市は主要産業の輸出潜在力を最大限に引き出し、地域貿易における役割を一層強化することを目指しています。