高齢者の役割促進に向けて

「国の発展時代における高齢者の役割促進」をテーマに掲げた今年のベトナム高齢者行動月間は、高齢者の知恵と経験に感謝と敬意を表するとともに、新たな発展期における高齢者の地位と役割をさらに高めるための取り組みを進める機会となっています。

ハノイで開催された健康体操フェスティバルに参加する高齢者たち(写真:トゥイ・ハー)
ハノイで開催された健康体操フェスティバルに参加する高齢者たち(写真:トゥイ・ハー)

統計データによりますと、ベトナムの高齢者の数は現在1,430万人以上で、人口の約13%を占めています。これまで、党と国家は一貫して高齢者に関心を寄せ、多くの支援政策を打ち出してきました。2009年に公布された「高齢者法」をはじめとする関連政策は、高齢者を支援し、その力を発揮できるようにするための法的枠組みを築いています。

2025年9月9日に政治局が発出した「国民の健康保護と向上のための突破的措置に関する決議第72-NQ/TW」では、各中央直轄省・市に少なくとも1つの高齢者専門病院を設置するか、または総合病院内に高齢者医療の専門科を設けることが求められています。

このほか、高齢者介護施設ではリハビリサービスの充実や、医療機関と介護センターとの連携強化が進められています。こうした取り組みは、高齢者医療の質を高めるとともに、新たな時代における高齢者の多様で増大するニーズに応える重要な方向性となっています。

しかし、客観的・主観的要因の双方により、高齢者は依然として深刻な健康上の課題に直面しています。保健省の2024年の統計によりますと、高齢者の70%以上が、認知症、虚弱症候群、心血管疾患、高血圧、糖尿病、筋骨格の変性など、平均して3種類以上の慢性疾患を抱えています。

失明や視覚障害を引き起こす眼疾患も依然として多く、白内障が失明症例の74%を占め、次いでトラコーマによる角膜瘢痕や加齢黄斑変性が続いています。

今年の「ベトナム高齢者行動月間」のテーマは、高齢者への関心、感謝、そして敬意を示す強いコミットメントの表れだ。高齢者は豊かな知恵と経験、そして高い道徳心を備えた貴重な存在であり、国の発展と国際社会への融合の歩みに共に寄り添っていることを改めて示してる。彼らは、国の建設と防衛の事業において、道徳、知恵、経験という面で大きな影響力を持つ“大樹”のような存在だ。

保健省常任副大臣 ヴー・マイン・ハー

保健省のヴー・マイン・ハー常任副大臣によりますと、今年の「ベトナム高齢者行動月間」のテーマは、高齢者への関心、感謝、そして敬意を示す強いコミットメントの表れです。高齢者は豊かな知恵と経験、そして高い道徳心を備えた貴重な存在であり、国の発展と国際社会への融合の歩みに共に寄り添っていることを改めて示しています。ハー常任副大臣は高齢者を、国の建設と防衛の事業において、道徳、知恵、経験という面で大きな影響力を持つ“大樹”のような存在だとたとえています。

高齢者医療は、国の保健政策の中心に据えられるべきです。保健分野の今後の発展戦略において、保健省の指導部は、高齢者の健康管理を国民の健康保護・ケア・増進のための国家戦略における最優先課題の一つとして位置づけ続ける方針を明らかにしています。保健省は、中央から地方までの各医療機関に対し、高齢者に多い疾患の診察、検診、診断、そして適切な時期での治療を強化するよう指導しています。特に、僻地や山間部、国境地域、島しょ部、少数民族居住地域などに暮らす高齢者への医療アクセス向上が重視されています。

「ベトナム高齢者行動月間」開始式で、政治局員であり党中央委員会書記、祖国戦線中央委員会委員長を務めるドー・バン・チエン氏は、あらゆるレベルの機関や各分野、そして社会全体に対し、高齢者に関する取り組みへの一層の関心を呼びかけました。その内容は、政策や法制度の整備にとどまらず、デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーション、さらには起業支援や雇用創出にまで及んでいます。

チエン氏は、人口の高齢化および超高齢社会の進行に対応するためには、高齢者の生活の質や健康、世代間の関係、そして社会全体の適応力に十分な関心を払う必要があると強調しました。その上で、持続可能な解決策を講じることの重要性を指摘しました。

また、各級党組織、行政機関、各省庁、団体、そして個人に対しても、高齢者に関する政策や法律の実施状況を見直し、評価するよう呼びかけました。当面の重点課題としては、首相決定第383/QD-TTg「2035年までの高齢者に関する国家戦略(2045年ビジョン)」および首相決定第379/QD-TTg「高齢者のデジタル・グリーントランスフォーメーション、起業・雇用創出への参画促進計画」を効果的に実現することに力を注ぐべきだとしています。

一方、ベトナム高齢者協会については、政治局およびベトナム祖国戦線の指示に基づき、中央・省・コミューンの三層統一組織体制の確立に向けた支援と環境整備が求められています。これにより、高齢者の正当な権利と利益を守り、国家建設と防衛の事業に引き続き貢献できるようにすることが目的です。

政府側では、レ・タイン・ロン副首相が、決議第72-NQ/TWで掲げられた目標達成に向けた各レベル・部門の取り組みを指示しています。これには、退職年齢に達した人の60%が年金、社会保険、退職手当を受給できるようにすること、平均寿命を約75歳に引き上げること、健康寿命を少なくとも68歳まで延ばすことなどが含まれています。

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